テレビドラマ化もされた浅見光彦シリーズで知られる作家の内田康夫(うちだ・やすお)さんが13日午前8時25分、敗血症のため東京都内で死去した。83歳。東京都出身。自宅は長野県軽井沢町。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻で作家の早坂真紀(はやさか・まき、本名内田由美=うちだ・ゆみ)さん。

 コピーライターやCM制作会社の経営を経て、1980年に長編「死者の木霊(こだま)」を自費出版。46歳で作家デビューした。82年刊行の「後鳥羽伝説殺人事件」から始まった浅見光彦シリーズで人気に火が付いて以降、西村京太郎さんらと並ぶ旅情ミステリーの書き手として活躍した。

 浅見光彦シリーズは累計約9700万部。信濃のコロンボシリーズや歴史小説「地の日 天の海」などを含め、著作の累計発行部数は計約1億1500万部。83年に転居した軽井沢町には「浅見光彦記念館」がある。2008年に日本ミステリー文学大賞受賞。

 15年に脳梗塞で倒れ、リハビリに励んだが、17年に「書き続けることが難しくなった」として休筆宣言。浅見シリーズ114作目の「孤道」を未完のまま出版し、完結編を公募した。

 お別れの会は行わず、3月23日から4月23日まで、軽井沢町長倉504の1、浅見光彦記念館に献花台を設ける(休館日を除き、開館時間帯のみ)。この時期は入館無料。