樹木希林(75)が22日、都内で、山崎努(81)と夫婦を演じる映画「モリのいる場所」(沖田修一監督、5月19日公開)の完成披露舞台あいさつに出席した。

 その後の囲み取材では体調について聞かれ「悪いですよ」と答えたが、「だからこういうところに連れてこないで、と言っています」と笑顔も見せた。

 樹木は13年に全身ががんであることを公表したが、その後も多数の作品に出演し、表舞台に立ち続けている。この日は取材陣の問いに「(体調は)悪いですよ」としたが、「でも(舞台あいさつに来るという)約束は約束ですから。生きてる限り来るかな」と淡々と答えた。

 役者の仕事については「瞬間芸ですから。これが終わると、グダーっとなりますよ」。さらに「(共演者が)みんな、マネジャーとかヘアメークとかスタイリストとか、いっぱい連れてくるのよ。空気吸うから連れてこないで、って言ってるんですけどね」と笑っていた。

 映画は画家、熊谷守一(モリ)の晩年を描いた作品。庭に訪れる猫やアリ、ちょうなどを慈しみ描くモリと、そんな夫に深い愛情をもち寄り添う妻秀子が織りなす、熟年夫婦の物語。

 樹木はメガホンをとった沖田監督を絶賛し、「沖田さんは芝居を見てくれる。演技より映像の出来を見る監督が多い中、若いのに人を見てくれるんです。これからの日本映画を背負っていってほしいと思っています」と激励。「性格がいいんでしょうね。才能があっても、1人だけいじめたりする監督もいるんですよ。そういうのもなく、実に穏やかな人です」と毒も交え、笑いを誘っていた。