芸能記者をやっていると、業界外の知り合いなどに「芸能人や有名人に会えてうらやましい」などと言われることもあるが、あくまでも取材なので、ミーハー的に会えて良かったと思うことはあまりない。しかし最近「これは、良かった」と思った現場があった。

 映画「レディ・プレイヤー1」のプロモーションのため13年ぶりに来日した、スティーブン・スピルバーグ監督(71)だ。「ジョーズ」「未知との遭遇」「インディージョーンズ」シリーズ、「ジュラシック・パーク」シリーズなど数々の作品を世に出してきたハリウッドの巨匠が、都内で若手の映像クリエイターや学生からの質問に答えるというイベントだった。

 スピルバーグ監督が若手クリエーターからの質問に次々に答えていく。例えば、「アイデアやイマジネーションはどこからくるのか」と聞かれると監督は、「想像力、イマジネーションはみんな持っている。持ってない人はいない。イマジネーションに対してオープンでいること。面白いストーリーテーリングが出てきたら書き留めてください」などとアドバイスしていく。質問者は感激の表情でそれらを聞いている。

 レッドカーペットのような派手なイベントも良いが、せっかくのスピルバーグ監督の来日だ。若手が巨匠と交流できるようなイベントを開催した主催者に感心した。それと同時に、多くの監督作品を楽しんできたファンとして純粋に同じ空間、しかも貴重な生の思いを聞ける現場に居合わせられたことをうれしく感じられた。