脳科学者の茂木健一郎氏(55)が、徳島市で開催中の夏の風物詩「阿波おどり」で、1000人以上が一斉に踊る恒例の「総踊り」について、市を中心とする実行委員会が中止したことで混乱を招いた問題について、「上からどうこうというのは難しいのだろうと思う」と私見を述べた。

 阿波おどりは12日に開幕し、13日には33万人(市発表)が来場。14の踊り手グループが所属する「阿波おどり振興協会」は委員会側の中止に反発し、演舞場近くの道路で独自に総踊りを決行した。旧主催者の赤字問題で揺れた阿波おどりは、運営方法を巡り市と踊り手団体が激しく対立する異例の事態となった。

 茂木氏は14日更新のツイッターでこの問題について「昨年の報道以来の、「阿波踊り」の運営体制についてのさまざまなニュースに接している中でも、私の中ではずっと、阿波踊りはみんながいっしょに自発的に下からつくるもので、上からいろいろ決めたり押し付けたりするのは違うのだろうなという印象を持ち続けていた」と言及。踊り手側が総踊りを決行したことについて、「ああ、阿波踊りはやっぱりそういう感じなのだろうなと自分の印象が確認されたような気がした。同意形成はみんなでやらないと、上からどうこうというのは難しいのだろうと思う」と私見を述べた。

 「もちろん、交通規制や、道路使用など、行政側、組織委員会側の考えも大切だと思う」とした上で、「しかし、阿波踊りの踊り手のみなさんの多くにとって、今回、組織委員会が『総踊り』の中止を求めたロジックは、説得力がないものだったということなのだろう」と推察。「もともと、踊りは無意識のエネルギーの発露で、幕末の『ええじゃないか』のように、人々の間から自発的に生まれてくるものだと思う。それと、さまざまな視点から企画、コントロールしようという組織側の意向は、時に一致しないくらいが、本当の踊りなのだろうと思う」と踊り手側の行動を支持した。