15日に亡くなった女優樹木希林さん(享年75)は、今年のカンヌ映画祭で最高賞パルムドールを取った「万引き家族」など、是枝裕和監督(56)作品の常連だった。新作の準備でパリ滞在中の是枝監督は16日深夜にコメントを発表、希林さんから今年3月に、がんが骨に転移したと知らされていたことを明かした。希林さんは05年に乳がんの手術をし、13年に全身に転移したことを公表していた。

「歩いても 歩いても」(08年)から「万引き-」まで、希林さんは10年で6つの是枝作品に出演した。「監督と役者という関係を超えて、とても濃密な、楽しい時間を共有させていただいた」と感謝した是枝監督。がんが骨に転移したと聞いた時のことを「言葉を失う僕たちを逆に気遣いながら、すぐに終活に入られた」と振り返った。

体調がすぐれないことも多かったが、希林さんはカンヌ映画祭にも参加した。是枝監督は「身体が弱ってからも、初めての体験をおもしろがっているようなところがあり、すごみと軽やかさの同居した姿は、神々しくさえありました。本当に見事な、いかにも希林さんらしい人生の締めくくり方をされた」と話した。

希林さんと過ごした時間を思い、是枝監督は「杉村春子さん、森繁久弥さん、久世光彦さんの、モノマネをまじえた楽しいお話をうかがえないのは本当にさびしいです」と結んだ。

また、「あん」などで一緒に仕事をした河瀬直美監督(49)は「監督の伝えたいことを瞬時に理解し、具現化できる真の俳優でした」と悼んだ。