16日に引退した安室奈美恵さんのラストステージに、シンガー・ソングライター平井堅(46)が出演した。14年に「平井堅feat.安室奈美恵」として発売した「グロテスク」で、最初で最後の共演を果たした。

2014年3月10日付の日刊スポーツで、コラボを記事にした。平井にとっても初のコラボシングルのきっかけは、1通の手紙だったという。04年の歌番組での共演から、お互いのライブを訪れたり、新作も必ずチェックするなど親交があったという。「どうせやるなら、2人並んだ絵がキャッチーな方を想像した時に、真っ先に浮かんだのが安室奈美恵さんでした」。13年に手紙でラブコールして、コラボが決定。制作に、約1年をかけていた。

「グロテスク」は、国内外から楽曲デモを100曲以上集めた中から曲が決まり、その後平井が作詞した。同年に平井をインタビューした際「詞を書きながら同時にメロディーを作って、それにコードだけをつけて、アレンジャーさんにお渡しするという曲の作り方をずっとしてきたので、自分だけでやるのとは違う広がりを感じました。他の角度から曲を作ることも大事だなと思いましたよ」と刺激を受けたことを明かしてくれた。

以降、平井のライブ、安室さんのライブそれぞれで「グロテスク」を歌うのを聞いたことがあった。お互いの世界観がありながら、やはりCDから聞こえてくる2人の生のハーモニーを聞いてみたいと思っていた。

初めての生コラボが、まさか安室さんのラストステージとは思いもしなかったが、目撃することができた。圧巻のパフォーマンス。負けず嫌いな2人が競い合うかのような掛け合いで、歌声がまさに共鳴していた。最後は平井が、お互いの健闘と、さらに安室さんの功績をたたえるかのように優しくハグをした。1つの物語が完成して、勝手ながら感慨に浸っていた。