ミュージシャンで作家の辻仁成(58)が、性的少数者(LGBT)への表現が差別的だとの批判を受けている月刊誌「新潮45」の休刊決定に疑問を呈し、「謝罪意思が本当にあるなら45を続けて議論の中で出口を探せ」と訴えた。

辻は26日更新のツイッターで、「新潮45の休刊はいかん、佐藤さん。LGBTや世論の批判を45休刊でかわすのか?」と、新潮社の佐藤隆信社長に問いかけ、「休刊は責任放棄にすぎないし新潮社の根本理念に反する」と指摘した。

続けて「言論の自由を何度も盾にしてきた新潮社が休刊で逃げたら編集者魂はどうなる?」と疑問を投げかけ、「謝罪意思が本当にあるなら45を続けて議論の中で出口を探せ。社員も読者も作家も納得できん」と主張した。

同誌は、自民党の杉田水脈衆院議員が、LGBTを「子供を作らない、つまり『生産性』がない」などと表現した寄稿を8月号に掲載し、批判を受けた。10月号の特集はそれに対し「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題して、7人が寄稿。文芸評論家の小川栄太郎さんの論考は、同性愛を「全くの性的嗜好(しこう)ではないか」とした上で、LGBTの権利を擁護するなら「痴漢」が「触る権利を社会は保障すべきでないのか」などと主張を展開した。

一連の特集では、作家や新潮社の社内からも批判が相次いでおり、21日には同社が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」とする佐藤隆信社長名の談話を公表。25日に同誌の休刊を決めたと発表した。同社は「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程で編集上の無理が生じた。その結果、このような事態を招いたことをおわびします」と謝罪した。