宝塚歌劇団は15日、花組トップ娘役、仙名彩世(せんな・あやせ)が来年4月28日付で退団すると発表した。16日に、兵庫県宝塚市内の同劇団で退団会見を開く。

仙名は宮城県名取市出身。08年に首席入団し、花組に配属。同期には月組トップに就いた珠城(たまき)りょうらがいる。新人公演ヒロイン経験がなく、トップ娘役に就いたのは、元雪組トップ娘役神奈美帆以来、32年ぶりだった。

歌唱力、演技力、ダンスの力量ともに優れ、安定感のある舞台さばきで、悪役もこなし、若手時代からクセのあるキャラクターも見事に表現。芸達者な娘役として活躍してきた。

新人公演でのヒロイン経験はないものの、13年に芹香斗亜(せりか・とあ=現宙組)主演の「フォーエバー・ガーシュイン」で、宝塚バウホール初ヒロイン。14年、前花組トップ蘭寿(らんじゅ)とむの退団公演で、初のエトワールを務め、花組娘役の主力として組に貢献してきた。

以降は、外部劇場公演で専科の北翔海莉(ほくしょう・かいり=後に星組トップ)、劇団理事でもある轟悠(とどろき・ゆう)の相手役ヒロインを務め、16年「ミー・アンド・マイ・ガール」では、歴代ベテラン娘役が演じてきた公爵夫人も好演。卓越した技量に磨きをかけ、昨年2月、娘役としては異例の遅咲き、9年目にして花組トップ娘役に就任。トップ明日海(あすみ)りおの3人目の相手娘役に迎えられた。

今年1月「ポーの一族」では、トップ明日海演じる主人公の義母にあたる男爵夫人を演じるなど、演技の幅の広さから、ヒロインの固定概念にとらわれず、劇団の新たなトップコンビ像を提示していた。

最後の公演は「CASANOVA」(作・演出=生田大和氏)。明日海が希代のプレイボーイを演じるオリジナルストーリーで描く1本もの。宝塚大劇場は来年2月8日~3月11日、東京宝塚劇場は同3月29日~4月28日。仙名は、同公演の東京千秋楽で退団する。