MDMAを所持したとして女優沢尻エリカ容疑者(33)が麻薬取締法違反容疑(所持)で警視庁に逮捕された事件で、尿検査の結果、MDMAなどの違法薬物の成分が検出されず、「使用」に関しては“シロ”だったことが20日、分かった。

陰性という結果に加え、所持量も多くないことから「所持」に関しても不起訴になる可能性も浮上した。一方、違法薬物と認識して所持していたことが証拠として明らかになれば、法律の専門家は「起訴される可能性は高い」と指摘した。

   ◇   ◇   ◇

組対5課などによると、逮捕した16日に任意で採取した尿を警視庁の科学捜査研究所(科捜研)で鑑定したところ、MDMAを含む違法薬物の成分は検出されなかったという。MDMAの成分は大半が使用から2、3日で体外に排出されるという。沢尻容疑者は、これまでの取り調べでMDMAに加え、「これまでに大麻やLSD、コカインも使った」などと使用を認める供述をしていることから、組対5課は経緯を調べている。関係者によると、使用の裏付けには毛髪鑑定もあるが、使用時期の特定が難しく使用罪の証拠としては不十分だという。

所持していたMDMAが0・09グラム(90ミリグラム)という多いとはいえない量であることから、不起訴になることもあり得るという。川崎つばさ法律事務所の川畑さやか弁護士は「鑑定が陰性であり、さらに所持量が多いとは言えないため、不起訴になる可能性も否定はできない」と指摘する。

一方で「基本的に、違法薬物と認識して所持していることが客観的な証拠から明らかであれば、起訴される可能性が高い」という。MDMAは沢尻容疑者の自室のアクセサリーケース内から発見。さらに、取り調べで「私のもので間違いありません」とMDMA所持を認める供述をしている。川畑弁護士は「違法薬物と認識して所持していた証拠となり得る」と、述べた。

沢尻容疑者は今月15日夜、東京・渋谷のクラブに行った。16日朝、都内の自宅に帰ると同時に、組対5課が家宅捜索。アクセサリーケースの中敷きの下からMDMAのカプセル2錠が見つかっていた。

沢尻容疑者の勾留期限は今月26日まで。裁判所が認めればさらに10日間の勾留延長もあるが、川畑弁護士は「本鑑定まで結果が出ている」として、「勾留延長されない可能性もある」と指摘した。

○…薬物を摂取した場合、体内から完全に抜けるまでの時間はその種類や検出部位によっても変わってくる。一般的に大麻は尿検査で7~30日と言われる。コカインは3~4日、LSDは1~3日、MDMAは3~4日。ただし、個人差があり、体格や使用量、常習性によっても変わってくる。