能年玲奈(21)が新人賞に輝いた。初主演映画「ホットロード」で影のある少女を好演。ドラマ「あまちゃん」の天真らんまんぶりと180度異なる新たな魅力を発揮。映画は興収24億円とヒットした。「答えもないし、自分で考えて作っていくお仕事。賞をいただけたということは『それでいいんだ』と言われた気がして、うれしい」。

 母子家庭に育つ少女役。母に寂しさと怒りをぶつけ、暴走族の青年にひかれていく。周囲の愛にはぐくまれた「あまちゃん」のアキと正反対。「私にも昔、お母さんへの反抗心はあり、そこから役作りを広げました」。撮影開始は「あまちゃん」放送終了直後。「私を知ってくれるきっかけになった役と違うので、どうすればいいか悩んだ」。

 助けになったのは「あまちゃん」で共演した薬師丸ひろ子。3年前、ある人から「あなたに合う気がする」と勧められ、薬師丸の出演作「Wの悲劇」「探偵物語」「野性の証明」などを見た。「女の子の暴力的なパワーが好き。薬師丸さんの何でもはねのける力が憧れ」。思いの丈を母にぶつける演技のヒントがあった。

 「薬師丸さんや小泉今日子さんのような、絶対的な存在になりたい」。街で映画を見たファンから声を掛けられた。「めちゃめちゃうれしかった。生の声と触れ合えたのが衝撃でした」。映画女優の喜びを感じ始めている。【森本隆】

 ◆能年玲奈(のうねん・れな)1993年(平5)7月13日、兵庫県生まれ。10年映画「告白」で女優デビュー。13年NHK連続テレビ小説「あまちゃん」主演で国民的人気を獲得。「ホットロード」で映画初主演。映画「海月姫」(27日公開)も主演。162センチ、血液型A。

 ▼ホットロード

 母の愛に飢える中学生の和希(能年玲奈)は友人に誘われて行った暴走族の集会で春山(登坂広臣)と出会う。互いにひかれ合うが、春山は暴走族間の抗争に巻き込まれていく。和希は対立していた母の愛に気付き素直な心を取り戻していく。三木孝浩監督。

 ▼新人賞・選考経過

 能年玲奈、上白石萌音、吉永淳の三つどもえ。能年には「『グッモーエビアン!』の時にすごい新人だと思った」(寺脇研氏)、上白石には「将来性では上」(木下博通氏)、吉永には「南国育ちの女の大胆な振る舞いがいい」(福岡翼氏)と魅力をめぐり激論。決選投票で能年が吉永を抑えた。