アントニオ猪木参院議員は31日の参院予算委員会で、20年東京五輪・パラリンピックに関連し、空港での出入国に伴う荷物検査についての「対応改善」を訴えた。

 自身が昨年、北朝鮮から帰国した際に、「パンツの1枚1枚、間(に何かないか)を見られた」という体験を披露。「空港での対応は、その国を好きになれるかどうかの、第一印象になる。嫌な思いをすると、この国は嫌だと感じる」と不満を漏らした。

 ただ、政府からは、自粛を求めている北朝鮮への渡航そのものに「残念だ」との見解が述べられた。

 猪木氏は昨年、訪朝後の帰国の際、別室で詳細に荷物のチェックを受けたという体験を述べた。「行く必要はないからここで開けてくれといったが、すまなそうな顔で『別室で』というので。かばんを開けて、片隅のところで。これは私ごとではなく、いじめの体質だ」と主張。「(パンツの間を調べられ)いいかげんにしろ、この野郎とどなりたかったが、じっとしていた。31回訪朝したが、1度もトラブったことはない」と、強調した。

 数年前には出国前の段階で、同様に別室に呼ばれ「荷物を全部ひっくり返された」とも主張。「税関サイドは経産省のお達しと言うし、経産省は税関の業務という。まだチェックインもしないで、どこに行くかも分からないのに。お前らもかわいそうだな、『上のバカなやつ』が指示するから従わないと仕方ないから、と言った。最近は、税関パスを楽しみにしている」と述べた。

 答弁を求められた世耕弘成経産相は「上のバカなやつとは、私に当たるのですが」と笑いを取った上で、北朝鮮への渡航自粛を求める政府方針を強調。「北朝鮮は拉致で日本人の人権を侵害し、ミサイル開発でもわが国の安全保障を脅かしている。制裁措置を取り、政府は渡航自習を要請している。猪木議員が渡航したのは、政府としては残念です」と述べた。

 制裁の一環で、輸出入が全面禁止になっていることから、詳細な荷物検査になったとした上で「別室に行ったのは著名な方だから。遠くから見ても猪木議員と分かるし、人が集まると大変になる。ご理解をいただきたい」と理解を求めた。