築地市場で働くおかみ46人で構成される「築地女将の会」は14日、都内で会見を開き、豊洲市場移転計画の中止を求める誓願署名を東京都へ提出したことを発表した。

 553ある水産部・仲卸事業所のうち、393事業所(約71%)の署名が集まったという。「女将の会」会長の山口タイさん(74)は「半分集めるのが目標だった。『(移転には反対だが)きっちとした形でないと署名できない』という方もいたので、今後も増えると思う」と話し、「若者たちを不安な場所に行かせたくない、その一心です」と、あらためて移転反対の意思を示した。

 移転反対の理由は、主に「土壌汚染」が多く、他には「液状化対策の不足」「高額なランニングコスト」などの意見もあった。

 土壌汚染については、築地市場でも敷地内で基準値を上回る有害物質が検出されているが、「築地は300年以上も前に埋め立てられた。護岸のヒ素は自然由来」「一部にクリーニング屋があっただけで、築地は工場跡地ではない」「豊洲は全区域汚染地域に指定されている」と、築地と豊洲では汚染の程度、質が違うことが強調された。

 液状化対策については「豊洲は液状化対策で建築学会の基準を満たしていない。東日本大震災の後は、100カ所以上が液状化した。そんなところで生鮮市場は営業できない」。豊洲市場維持費については「ランニングコストが5~7倍かかる豊洲にはついていけない」などの声が上がった。

 また、川合水産を営む川合ミワ子さんは、今月3日の会見で石原慎太郎元東京都知事が「築地市場の人たちを生殺しにしたのは小池都知事」と発言したことを引き合いに、「築地の人たちを生殺しにしているのは、石原さんなんです」と発言した。

 ほかにも、「豊洲へ行ったら魚を買わないと言われた」「移転の話が出て、廃業した方もいた」など、おかみならではの話が多く飛び交った。

 「女将の会」は、水産仲卸だけでなく青果仲や関連事業者へも署名活動を広げていくといい、今後も東京都への提案を続けていく方針。