将棋の第30期竜王戦を制した羽生善治竜王(47)が16日、都内のホテルで行われる就位式を前に、同6組を制した史上最年少プロ、藤井聡太四段(15)とそろって会見した。

 15年ぶり7期目の竜王獲得と同時に、永世・名誉称号7冠すべてを獲得した羽生は、「奪取から1カ月たってようやく実感が湧いてきた。今年は防衛戦を控えているが、挑戦していく気持ちを失わず、31期の開幕を迎えたい」と話した。

 また、この棋戦でデビューし、将棋界の連勝記録となる29連勝、初黒星も喫した藤井は、「いろいろな経験ができた。5組に昇級して強敵がそろっているが、少しでも上を目指せるよう1局1局全力で頑張りたい」と抱負を口にした。

 2人は、2月17日に行われる第11回朝日杯オープン戦の準決勝(東京・有楽町朝日ホール)で激突する。羽生は、「どこかで顔をあわせると思っていた。こんなに早く実現するとは」と驚いてみせた。14日の準々決勝で佐藤天彦名人を破った対局についても、「内容が良く、手厚い。少しずつリードを広げていく指し回しに感心しました。公式戦で初めて対戦するにあたり、張り切って、自分の持てる力を出し切りたい」と全力投球を宣言した。

 非公式戦では1勝1敗。初顔合わせの時と比べ、実力が上がってきていると感じている。「(藤井さんの)勝率8割は考えられないくらい大変な数字。手ごわい存在」と、力を認めた。

 対する藤井は、「自分に持ってないものを持っている。少しでも近づけるように頑張りたい」と言葉少なながら、闘志を燃やした。

 会見は約20分だったが、羽生は終始、体を左30度ほどに傾けていた。相手をにらみつける「ハブニラミ」こそなかったが、視線を合わせなかった。

 藤井もじっと前を見ており、左に座った羽生の方を見ることはなく、来月の対局に向けてお互いに意識している様子だった。