森友学園への国有地売却に関する財務省の文書改ざん問題を巡り、佐川宣寿・前国税庁長官(60)の証人喚問が27日、参院の予算委員会で行われた。

 その中で、佐川氏は共産党の小池晃氏からの厳しい追及に「刑事訴追の可能性があるので答弁を差し控えさせていただきます」という返答を繰り返した。それに対して、小池氏が金子原二郎委員長に対し、「委員長、これでは喚問の意味がない。これでは進められない!」と激怒し、午前11時4分に一時、質疑が中断する事態となった。

 財務省の調査では、文書の改ざんは17年3月から5月にかけて行われたとされている。小池氏はその点を踏まえ、同氏が2月に国会で行った答弁について、改ざん前の文書を見て行ったのかと質問すると、佐川氏は刑事訴追の恐れがあるからと答弁しなかった。小池氏が「答弁の根拠は改ざん前の文書でしょ? それを元に答弁したのが、なぜ認められない?」と聞くと、佐川氏は「いつ書き換えをしたかに結び付く。刑事訴追の恐れがある」と答弁を拒んだ。

 小池氏が「4月17日に改ざんしたと太田(充理財)局長は言っている。あなたの答弁は、当時の決算文書前提に行ったんですね? と当たり前のことを聞いている」と追及すると、佐川氏は「私自身、書き換えられた文書そのものを、いつ認識したかに直結する。捜査対象になっているので控えたい」と答えた。

 小池氏は「これはね、自分が訴追されるからじゃなく、都合が悪いから答えないこと。証言拒否として告発しなければならなくなる」と厳しく非難した。その上で「(平成)27年1月9日に森友学園を訪問したか、私は国会で証人に6回聞いて否定した。ただ改ざん前の文書には、訪問したとしている。決算文書と正反対の答弁をしたのは、なぜか?」と聞くと、佐川氏は弁護士に相談し「やはり、その件は書き換えの経緯、いつかとかに、まさに関わる。そこはお答えを差し控えたい」とかわした。小池氏は激怒し一時、質疑が中断した。

 小池氏が中断明けに「事実確認をしている。なぜ当たり前のことが答えられない?」と聞くと、佐川氏は「私自身、理財局の調査を存じない。決算前の文書をいつ見たか、ということに関わる」と答えた。小池氏が「じゃ、あなたは何を見て根拠に答弁した?」と聞くと、佐川氏は「質問要求があり、答弁書を作った。その答弁が決裁文書をもって作ったか…私自身、答弁書を読んでいる」などと答えると、小池氏は「無責任! そこでも部下に責任を押しつける」と非難した。佐川氏は質問を受ける中で「何月何日に業者と会ったという実務的な話を、官邸と調整することはない」などと、不愉快そうな表情を浮かべる場面もあった。

 小池氏が「決裁文書を見た時に昭恵夫人の名があり、特別なことを感じなかったか?」と聞いても、佐川氏は「決済前、書き換え前の文書をどこを見たか…先ほどと同じ、刑事訴追に関わることですので」と回答を拒んだ。「昭恵夫人の名前を、どこかで見たわけでしょ? どう受け止めた?」と聞いても「いつ見たとは聞いていないが、見たとか見ないとか言う質問。いつ認識したかそのもの」と言い、回答しなかった。

 小池氏は一連のやりとりの最後に「それはダメでしょ! これでは証人喚問の意味が全くない。この証人喚問で終わってはいけないと。野党が証人喚問を求める、昭恵さんまで呼ばないと解決しない」と安倍晋三首相の昭恵夫人の証人喚問を、あらためて求めた。