将棋の藤井聡太七段(16)が本年度中のタイトル戦挑戦権獲得に向け、最後のイスを確保した。17日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第4期叡王戦段位別予選七段戦の準決勝で、小林裕士七段(41)に逆転勝ち。続く決勝でも千葉幸生七段(39)を下し、2年連続で本戦トーナメント(T)に進出した。高見泰地叡王(25)への挑戦権獲得を目指す。

持ち時間各1時間の早指し戦で1日2勝した藤井だが、午後2時からの準決勝は押され気味の展開。「中盤あたりから苦しかったが、最後に何とか勝負になった」と振り返る。午後7時から始まった決勝も、相手の千葉の粘りに苦しんだが見事に振り切った。

藤井はすでに今年6月の竜王戦、7月の王座戦で敗退。今月3日の棋王戦挑戦者決定Tで菅井竜也王位、同14日の王位戦予選で山崎隆之八段に敗れ、タイトル戦からも遠のいた。小林戦ではデビュー以来初の3連敗もちらついていたが、盛り返した。

昨年の予選時はまだ四段。新人ながら勝ち抜いて本戦進出を果たしたが、深浦康市九段に逆転を許し、初戦で敗退した。「2期連続の本戦進出をうれしく思います。上を目指して頑張りたい」。言葉少なに決意を語った。【赤塚辰浩】