安倍晋三首相が10月初旬の内閣改造で、自民党総裁選を戦った石破茂元幹事長や石破派議員の閣僚起用を見送る意向を固めたことが21日、分かった。首相の憲法改正の考えに同調することを人選で重視する構え。党役員人事でも石破派の登用を避ける見通し。首相陣営からの「辞表圧力」を主張した斎藤健農相は、交代させる。石破派の「冷や飯」が、現実になる見通しだ。

党内では、地方票で45%を獲得し、予想以上に善戦した石破氏や石破派を人事で処遇すべきとの声もあり、波紋を広げそうだ。首相は菅義偉官房長官、麻生太郎財務相に続き、河野太郎外相、世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生担当相の留任方針も固めた。自民党では二階俊博幹事長に加え、岸田文雄政調会長の続投も有力。主要ポストの顔ぶれは変わらず、3選を支持した大臣待望組から不満も出そうだ。

一方、麻生氏は会見で、石破氏の戦いについて「善戦なんて思ったことはない。議員票はえらい少ないと思った」と、善戦との見方を否定。「(地方より)議員の方が普段から本人をよく見ている」述べた。首相陣営では、投開票直前に行った出陣式でカツカレーを食べた国会議員の人数と、実際に首相に投票した議員の数が数人合わないとして、「カツカレー食い逃げ議員」探しも始まった。