参院埼玉選挙区補欠選挙は27日、投開票が行われ、無所属で立憲民主党、国民民主党の県連が支援する前埼玉県知事の上田清司氏(71)が圧勝した。

午後8時の投票終了直後に当確となり、一騎打ちとなった「NHKから国民を守る党(N国)」の立花孝志前参院議員(52)を下した。16年ぶりに国政復帰する上田氏は憲法改正に関して「大きな議論を展開する必要がある」と前向きな姿勢を示した。

一方「秒殺」された立花氏は「投票率が40%台まで上がればチャンスはあったが低投票率では組織票が強い」と淡々と振り返った。受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」実現を公約に掲げ、7月の参院選比例区で初当選も今回の出馬で参院議員を自動失職。6年間の任期を捨て、22年7月まで任期2年9カ月あまりという参院補選に参戦という異例の戦いは終わった。

今回の補選は6月の埼玉知事選で4期16年の知事を務めた上田氏が支援する大野元裕参院議員(55)が当選し、その議員辞職に伴うもの。自公は対立候補を擁立せず、憲法改正に前向きな上田氏と選挙後の連携をにらんでの与野党「相乗り」とみられる。立花氏は「参院選前に大野氏が辞職していれば、約22億円という今回の補選費用は必要なかった」と批判を展開した。

それでも「勝っても負けてもプラスにしかならない選挙だった」とした上で神奈川・海老名市の市長選(11月3日告示、同10日投開票)への出馬を改めて宣言した。「NHKの受信料を未払いの世帯に年間5万円の助成金」「市役所職員の給与を現行の2倍にしてNHK職員並みとする」など異例ずくめの公約を掲げて「まだまだ首長選には出ます」と選挙の舞台に立ち続けることを断言した。【大上悟】