「平成28年度GFG杯争奪全日本地区対抗磯(グレ)釣り選手権大会」が23日、宮崎県延岡市の島野浦、南浦一帯の磯で開催された。地区予選を勝ち上がった36選手が参加し、25センチ以上のグレの総重量を競った。「ヨネバエ」に上がって45・4センチを頭に4匹を釣り上げた吉野裕也選手(横浜市=関東)が、総重量3・64キロで初出場初優勝の快挙を達成。団体戦も関東が制した。

 自分でも驚きの初出場初優勝だった。「ビックリですよ。まだ足がガクガクしてます」と、吉野選手は初々しい笑顔で振り返った。

 南浦の磯「ヨネバエ」の沖向きに入り、オキアミをエサにした全遊動仕掛けで挑戦。スタート直後から、グレが反応した。わずか2投目で本命がヒット。しかも、いきなりの40センチ級だ。

 前半は木っ端グレが2投に1回ペースで来るものの、仕掛けを入れれば食ってくる入れ食い状態。島野浦・南浦一帯のグレは攻略が難しいとされるが、大会前に「(全遊動で)上からゆっくり(棚を)探っていく」「ウキはシモリ気味にする」という攻略イメージを描き、実践した。釣り座の前はサラシが強く、払い出しに乗せて仕掛けを沖に出した。

 1時間後には45・4センチ、終盤にも40センチ超を仕留めるなど計4匹。うち3匹は40センチ超と良型をそろえ、2位の萩原選手をわずか40グラム上回り、初出場初優勝の快挙を成し遂げた。しかも団体戦とのダブル優勝。「ここのグレは引きがパワフル。(仕掛けが切れないよう)慎重にやりとりしました。おかげで腕がパンパンになりましたよ」と、心地よい疲労感に浸った。

 GFG(がまかつファングループ)には昨年4月に入会したばかり。競技会に出たのは今大会の予選が初めてだった。予選を突破し全国大会出場が決まると、今大会で使用したサオなどの道具を夫人が新調してくれた。それだけに「真っ先に(優勝を)報告したい」と夫人に感謝した。

 使用するウキは特注品。中にガン玉が入り浮力を調整でき、PEラインとの相性もよく、アタリを取りやすいという。そのウキを製作してくれた松岡秀吉さんにも、喜びの声を伝えたいという。

 競技会の面白さにも目覚めた。「楽しいし、知り合いも増えました」。次は最高峰の戦い「G杯」挑戦を宣言。新たなトーナメンターが誕生した。【高垣誠】