2連覇だ! 「Tokyo Bayマダイダービー2016」が6月30日、終了した。今年は、予想外にきっちりとしたノッコミが訪れ、春ダイの乱舞は短期間で終わってしまった。その中で4キロ台を3匹そろえた山口雄一さん(55=足立区)が2年連続で東京湾のマダイ王となった。山口さんは「ヒロ船長に感謝したい」と、乗船した富浦「共栄丸」に最敬礼した。

 山口さんは、マダイ釣りは「1人では釣れない」と強調した。乗船すれば、常に大きなマダイを狙っていく。ただ、船長との「あうんの呼吸」が成り立たなければ、大物のマダイには出会えないと断言する。

 山口さん いろんな船に乗ってきました。どの船長もマダイのポイント探しに日夜勉強している。その中でも富浦「共栄丸」ヒロ船長(笹子宏宣船長)は相性ピッタリ。

 無口な笹子船長が、魚群探知機を見ながら、船内マイクを通して「42メートル付近に反応があるんだなぁ」「ここは大きいのが出そうだなぁ」と、ポツリと指示するときに釣れるヒントがあるという。

 山口さん マダイの反応があるということは、どれだけ自然な形でハリに刺したオキアミを食わせられるか。ここでハリスは落とさずに、ハリの号数を落として、仕掛けを軽くして、海中でナチュラルな動きになるように工夫する。それもヒロ船長に教わった。

 それと大きなマダイを釣るには、コマセワークが最も重要であるともいう。

 山口さん 正直、今年は連覇なんて意識していなかった。でも、うまい具合に4キロ台を3匹まとめることができた。この3匹を釣ったときは、コマセを打ちすぎないように心掛けた。マダイは空腹状態にさせないと口を使ってくれないんですよ。

 今までにマダイの最大は5年前の8・2キロ。しかもちょうど同じサイズを2匹釣っていた。

 山口さん 来年の抱負ですか。3連覇なんて無理。でも、人生で一番大きなマダイを狙ってみます。えっ、3連覇はない、って。

 そうは言いながら、山口さんまんざらでもないような表情だった。そういえば、今年も「連覇とか考えていない。マダイ釣りを楽しみますよ」と言っていたっけ。【寺沢卓】

 ◆賞 2連覇した山口さんには、オリジナルのマダイザオにこだわる「バスケスフィッシングテクノロジー」(加藤貴則代表)のコマセダイ専用の1ピースロッド「イノセンス285」(16万8000円・税別)が副賞として進呈された。

 「バスケス-」は、今年2月、急逝した日刊釣りペン・クラブ加藤雄二さんが起こしたロッド工房で、「アリゲーター技研」に製作依頼をして、今後受注生産する。問い合わせ【電話】080・9526・9888。

 山口さんは受け取った翌日、南伊豆にマダイ釣りに出掛け、スタート直後から4匹連続で2キロ超のマダイを仕留め「素晴らしい。特に魚を掛けてからがスゴい。胴がストロングなので勝手に魚が上を向いて浮き上がってくる。装飾もすべて丁寧で釣っていて楽しくなってくるサオです」と話し「魂を入れさせていただきました。今後も楽しみです」と熱っぽく振り返った。

 最大魚の7キロを6月12日釣った井上康則さん(52=足立区)には、がまかつから高級ザオが贈られた。井上さんは「ダービー前半は仕事で行けなくて、やっと乗れたらノッコミは終わっていた。それに、その日はずっとアタリなく、ダメかなぁ、と。でも、最後の一投でガツン。10分近くやりとりして腕もパンパン。がまかつのサオ、うれしいですねぇ」と喜んだ。

 また、2~9位(9位は同量で2人)にも豪華賞品が贈られ、下1ケタ「6」(40位台は同量で3人)の参加者への飛び賞は、各船宿に送付された。該当する釣り人は、釣りのついでに宿で受け取ってください。

 ◆ルール 開催期間は3月12日~6月30日。マダイ3匹の合計重量で競う。コマセマダイ釣り限定。期間内であれば何度でも訪れることは可能。記録は1匹からの更新ができる。参加地区は久里浜「大正丸」、八景「太田屋」、勝山「宝生丸」、富浦「共栄丸」の4地区。

 <主催>日刊スポーツ新聞社、日刊スポーツ新聞社指定・共栄会<協賛>がまかつ、マルキユー