日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「月桂冠杯・和歌山・白浜筏チヌ釣りセミナー&大会」が5日、和歌山・白浜町堅田のイカダで行われ、58人が参加しチヌの1匹長寸(キビレ含む)を競った。北西の風が強く、全体的にチヌの食いが渋い中、午前6時半ごろから午後3時まで、あの手この手で奮闘。ボライカダの5号に上がり、ダンゴを中層で割る落とし込みで47・3センチを仕留めた形部(ぎょうぶ)義和さん(岸和田市)が見事、初優勝した。最多匹数を競った「月桂冠賞」は44・3センチまでを2匹釣りあげた若宮裕眞さん(神戸市)が受賞した。【近江康輔】

 「やりました! 会心の1匹です」。形部さんが優勝カップを高々と突き上げ、勝利の雄叫びをあげた。かかり釣り歴20年のベテランで、堅田のイカダがホームグラウンド。月に3、4回のペースで竿を出し、年間5匹の年なしチヌを釣りあげ、自己最長寸は55センチ。今年の8月14日には82センチのマダイも仕留めている大物ハンターだ。

 堅田の海を知り尽くしているベテランだけに、この日も的確な状況判断で少ないチャンスをものにした。上がったイカダはボライカダの5号。朝から小型ヘダイの猛攻を受けるが、餌がとられなかったサナギの刺し餌1本で勝負した。

 勝因はダンゴを底から2ヒロ上で割って、濁りと刺しエを同調させながら落とし込む釣り方だった。これを繰り返すと午前11時ごろに大物がヒット。底付近で竿先がもっていかれるほどの強烈なアタリをとらえた。竿がぐいぐい締め込まれ、イカダの下へ突っ込まれるが、ラインを出しながら慎重に応戦。2位の中野宗則さん(伊勢市)に2・2センチの差をつける最長寸47・3センチのチヌを仕留めた。

 表彰式では「堅田のチヌ釣り大会で優勝したのは初めてで、とてもうれしい。かかり釣りの技術を教えてもらった堅田の名人・細川さんに感謝です。来年も参加して、連覇を狙います」ときっぱり。副賞の純米大吟醸「鳳麟」が贈られると「今夜は、仕留めた大チヌの刺し身をあてに、おいしいお酒で祝杯をあげます」と満面の笑みを浮かべた。

 日刊FPC・兼松伸行氏からも「堅田の釣り場は養殖用のイカダが隣接されているので、チヌが中層を意識する傾向があるが、そこをうまく攻めたと思います。わずかなチャンスを逃さない見事な1匹でした」と祝福の言葉が贈られた。