八景「太田屋」と餌木のパイオニア「ヤマシタ」が6日、初心者対象のスミイカ釣り教室を実施した。参加者は15人で、スミイカのエギング未経験者はそのうち14人。テクニカルな釣りではあるが、教え方がうまかったのか、素材が優れていたのか、ボウズ(釣果0匹)はゼロで船中で本命48匹、アオリイカも14匹。今季のスミイカ、東京湾がノリノリに乗ってきた。

東京湾の秋から冬にかけて、釣り物数え歌の筆頭に立ちそうなのが、スミイカだ。千葉・竹岡沖や、南北11キロ続く水中島の中ノ瀬、横須賀の猿島沖など東京湾にはスミイカ釣りの名所はいくつもある。その中でも横浜市の八景沖は水深10~20メートルの起伏の激しい底面で、スミイカがアジやイワシを狙うために潜むデコボコが豊富にある。八景沖そのものがスミイカの巨大な隠れ家になっているのだ。

例年では、11月ごろ本格的にスミイカの活性があがってくる。この時期ではまだ釣りを始めるには、やや気が早い。いわゆる握りこぶしぐらいの大きさの「コロッケサイズ」が主流なのだが、今季はどうやら成長が進んでいるようだ。

このスミイカの育成事情がどうなっているのか、そして、独特のテクニックが必要で玄人ウケするスミイカ釣りがどの程度支持されているのか…エビを模した疑似餌「餌木」を使った釣りの意味となる「エギング」という言葉をつくった餌木メーカー「ヤマシタ」と八景沖の餌木スミイカにこだわる「太田屋」がタッグを組んだ。

教室を企画したのは9月中旬。決行日を10月6日(土)とした。教室開催まで1カ月を切っていた。それぞれのホームページ、日刊スポーツ釣り特集紙面、SNSなどを駆使して募集を展開した。9月下旬、14人の定員を1人オーバーする15人で打ち止めにした。15人のうち、餌木スミイカ初体験が14人だった。とりあえず、世間の釣り人から東京湾のスミイカは注目されていたようだ。

台風25号の影響と天気予報もあって、教室の実施が心配された。ギリギリの判断ではあったが、朝からの風もやむことがほぼ確定的だったため決行に踏み切った。参加者もキャンセルなく全員が太田屋に駆け付けた。餌木と中オモリ&氷がついて、釣り方講習と指導員4人が徹底的に教えてくれる特典まで、で1万円、女性と小学生は8500円の大特価だった。しかも、朝7時出船で午後3時までびっちりスミイカ釣りを堪能できた。

結果、15人全員がスミイカ&アオリイカをキャッチした。船の合計は本命スミイカが48匹、アオリは14匹で活性の高さを証明した。

イカは「釣れた」とは言わない。10本の足をエギにからみつかせることから「乗る」と表現する。

釣り方のポイントは3点。

(1)中オモリから3メートルのハリス サオをシャクる釣りで、餌木が宙層でフワリと踊るように落下していく。そこにスミイカが抱きつく。そのフワリを演出するにはハリス3メートルの長さが必要となってくる。

(2)シャクり幅は目線より下 フワリで抱きつくということは、シャクり始めで餌木にスミイカが「乗って」いる状態になる。頭上までシャクってしまうとリールのハンドルを回転させて道糸を巻き取る余裕がなくなるため、シャクりの最上限は目線よりも下にしていないと巻き上げることはできない。

(3)底取りはコマメに 底はデコボコしていて、底付近で息を殺してしているスミイカを乗せるには、中オモリを着底させてから着実に底からハリス分の3メートル浮かさないといけない。3~5回シャクったら、底に中オモリを落として、再びタナをとり直す。

底付近にいるはずのスミイカにアピールすることを忘れてはいけない。

満足の参加者からは「アタリはズン、って重いだけだけど、シャクっていて突然重みを感じるのはクセになる」「シャクりの間合いは長めの方がいいかも。乗せる余裕があった方がいい」「当たってからリールを巻いて、中オモリをたぐり寄せて、スミイカが抱きついた餌木をつかむ。このスピード感がたまらない」「噴射する潮とスミをかぶらないようにするドキドキ感。いいですねぇ」とさまざま。「次回もエギングやりますか?」の質問には、全員の手がスーっと秋空に向かってあがっていた。【寺沢卓】

◆船 八景「太田屋」【電話】045・782・4657。エギングのスミイカ乗合は午後便の予定だが、スタートはまだ未定。近日中に開始。出船は午後0時30分で同4時30分まで。料金6500円。その他のスミイカ船は川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。餌木使用。出船午後0時30分、氷付き6500円。鶴見「新明丸」【電話】090・3519・1111。シャコテンヤ使用。出船午前7時30分、シャコ5匹までが付いて氷別9500円。