これから増える忘年会シーズンに向けて、肝臓をいたわるコツをお教えします。

 ご存じの通り、飲んだアルコールは肝臓で分解されます。お酒を飲みすぎると、肝臓が疲弊し、次第に肝障害が進んでいきます。アルコール性肝障害の第1歩は脂肪肝です。この時点ではほとんど症状がなく、本人は気がつきません。

 しかし、放っておくと、アルコール性肝炎や肝線維症、肝硬変へとつながっていきます。脂肪肝の段階では可逆性の病気なので、お酒をやめれば元に戻ります。しかし肝線維症、肝硬変に進むと、もう元には戻りません。脂肪肝の段階で、進行を食い止めることが重要です。

 アルコールは太らないというのはウソです。アルコール摂取により、脂肪酸から中性脂肪が合成されます。中性脂肪は肝臓の中に蓄積し、余った中性脂肪は血液中に流れ込み、高脂血症や動脈硬化、内臓脂肪型肥満の原因になります。

 では、実際どれくらいの量を飲んだら脂肪肝になるのでしょうか。目安として、日本酒3合以上を2~3年飲み続けると脂肪肝になりやすくなります。しかし、これはお酒の強さによって個人差があるので、お酒が弱い人はさらに量を制限した方がいいでしょう。女性は、ホルモンの影響で男性よりも少量のアルコール摂取で脂肪肝になるといわれます。

 忘年会シーズンに向け、肝臓をいたわるために次のようなことに気をつけましょう。

 ●自分の適量を知る

 ●ゆっくり時間をかけて飲む

 ●お酒を飲むときはナッツ類、大豆、果物、野菜を一緒にとる

 ●忘年会は3日に1回にする

 病気になってからでは遅いこともあります。健康なうちから積極的に医師に相談して予防するようにしましょう。最近は、オンラインで出来る医療相談サービスも増えています。私も「first call」で相談を受け付けているので、何か気になることがあればいつでも相談してください。(おわり)

 ◆first call(ファーストコール) テレビ電話で医師に相談ができるオンライン医療相談サービス。内科、眼科、小児科、精神科を含む約40人の医師が相談に対応する。現在はモニター期間中なので15分500円。https://firstcall.md/

 ◆真鍋歩(まなべ・あゆむ)医師・医学博士。1984年(昭59)7月6日生まれ、東京都出身。日大医学部卒。専門は眼科。現在、日大病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、メドピアグループが提供するオンライン医療相談サービス「first call」運営に参画。自身も同サービスで健康相談に応じる。