元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 歯磨きで歯の白さを取り戻せますか。

 A 歯磨きで歯は白くなりません。薬事法で日本では歯を白くする漂白作用があるものは歯磨き粉に含まれていないからです。商品のコピーも「白い歯っていいな」「つややかな白い歯に」で、「歯を白くする」とはうたっていません。歯磨きでできるのは歯の汚れを取ることで、自分本来の歯の色に戻すことです。

 日本で歯磨き粉に含まれているのは、研磨剤です。ヤニを落とそうと研磨剤が入った歯磨き粉を使い、歯周ポケットに顆粒(かりゅう)状のマイクロビーズをためて炎症を起こす人が増えていることが問題になっています。粒子が削るわけです。歯の表面に細かな溝ができて、より汚れが付きやすい歯にしてしまいます。

 ネットを見ると、歯を白くする方法として「重曹で歯磨きする」とか「酢でうがいをする」とか書かれています。私はその効果を聞いたことがなく、やる意味が分かりません。似たような話では歯茎を強くするからと言って塩磨きする年配の方がいます。塩が引き締めるというのですが、ナメクジが縮むのと一緒で、一時的に歯茎が縮むかもしれませんが、そもそも歯茎が腫れている原因は歯周病です。原因を取らないで締めてもしょうがないと思うのです。

 何とかしたいという気持ちは分かりますが、歯科医院に行ってPMTCなどの処置を受けた方が、よほど話が早いと思うのです。

 歯に色が付きやすい人、付きにくい人という個人差はあります。歯の表面のエナメル質が生まれつきザラザラな人、ツルッとしている人がいます。ザラザラな人は汚れがたまりやすいし、着色汚れもしやすい。歯に色が付きやすく、冷たいコーヒー、ウーロン茶、紅茶をよく飲む人は、歯につかないようストローを使って直接喉に入れるよう指導しています。ヨード系のうがい薬も歯を黄色くするので、最近は歯科医院では出さなくなっています。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。