先日、一部報道で小田原競輪「廃止」が伝えられたが、施行者はそのような事実はないと否定した。

来年に開設70周年を迎える小田原競輪場
来年に開設70周年を迎える小田原競輪場

小田原競輪の開設記念G3はお盆開催が恒例だったが、数年前から時期が変更になった。この影響で売り上げが減少することは予測されたはずなのに、今日まで目立った対策を取っていない。このまま何の手も打たなければ、廃止の議論が活性化してしまう。

20年前は「小田原は安泰、伊東は廃止寸前」と言われていたが、現在では完全に立場が逆転した。小田原は、伊東や平塚よりも交通アクセスが良く、今でも1日平均2000人もの来場者がある。運営方法次第では、収支が改善できるチャンスがある。そこで、数年前から考えていたアイデアを提案したい。

1 ガールズ開催の実現

新規客を呼ぶ優良コンテンツとなったガールズケイリンは必須。現在はガールズ選手の宿舎を確保していないため実現していないが、男子選手と分宿する方法もある。都心から新幹線で30分ちょっとのアクセスは、多くのガールズファンを呼べる。

2 他場併売時の、本場のレース発走時間見直し

F2開催時に、G1、G2、G3などの場外発売を優先するために、本場の最終レースを15時ごろ終わらせるのは、本場の車券売り上げアップに影響しているように感じる。その上、小田原に参加して一生懸命走っている選手のモチベーションも下がってしまうのではないだろうか。

3 食堂エリアを憩いのスペースに

老朽化してしまった藤棚裏の食堂。建て替えは経費がかかってしまうが、昭和レトロ感を生かした「屋台村」のように飾ることはできないだろうか? 小田原市内の若者向けの飲食店などにも出店を募れば、オールドファンのみならず、若者のデートスポットにもなりえる。

4 無料送迎バスの降り場の見直し

帰りのバスの降り場を東口の繁華街周辺に設けることはできないだろうか? 人の流れを市内の飲食店に向けられれば、商店街の活性化にもつながり、相乗効果が生まれる。

5 ナイター開催の実現

近隣の住宅街、学校などに配慮して議論されていないが、立地条件が同じような競輪場でもナイター開催を実施しているところはある。普段、競輪場周辺の道路は真っ暗な所もあることを考えれば、近隣住人に対して「開催中は周辺地区を明るく照らし、警備員や清掃員を配置させることで、逆に地域の安全などを確保できる」と説得できる要素があると思う。実際に伊東競輪はナイター開催に踏み切ったことが、売り上げ上昇の起爆剤になった。

私は小田原に生まれ育ち、ここで競輪と出会ったこともあり、とても愛着がある。だから、黙って見ていることはできない。

日本競輪選手会や現場の関係者は『廃止報道』に怒りを隠さなかったし、「このままでは駄目だ」と前向きに動いている。小田原競輪の施行者も危機感を募らせ、売り上げ低迷から脱却して廃止の議論が起こらないように頑張って欲しい。【松井律】