沢大介(46=三重)は準優勝戦11Rで、指定席の6コースからコンマ07のトップスタートを決めたが、結果は6着。優出はならなかった。

12Rが終わり、選手宿舎へ帰る整列点呼前、記者に向かって、まっすぐ歩いてきた。開口1番「聞いてください! 最悪です。やってしまいました…」。

沢は優勝戦が行われる20日に、福岡ドームで行われる乃木坂46のコンサートに行く予定なのだが、開演時間を勘違いしていたのだという。

「10R終わりだったら間に合うんですけど…17時開演というのを、すっかり忘れていました」。

前夜版を確認すると、最終日20日の出番はなんと、無情の通告とも思える11R。これでオープニングに間に合わないことは、ほぼ確定した。

事前の想定では、モーニングだから優勝戦に乗っても、間に合うと算段していたという。

「最初は(アイドル)ファンの人たちを、白い目で見ていたんです。でも動画サイトで、なにげに見てから、はまってしまいました。西野七瀬さんの大ファンなんです」という。節間には、ピットで野添貴裕を相手に一生懸命、乃木坂46について語り、若干引かれていた。

「最近は原宿まで出向いて地下(アイドル)系にまで手を広げています。楽しいですよ!」と満面の笑み。アイドルだけでなく、野球も好きなのだという。

「中学までやっていました。しいていえば巨人ファンですけど、球場としては、京セラが1番好きですね。甲子園も行きますよ」。

「今は津に住んでいるんですけど、名張が実家なんです。母が『潤』という喫茶店をやっていて、そこに野中和夫さんが、お客さんとして来てくれるんです。野中さんは今、ボートレースチケットショップりんくうで解説者をなさっているんですけど、りんくうが、甲子園の年間シートを持っているので、使わない券があった際に、母が野中さんからもらってそれを僕がもらっています」と舌をぺろり。

「偉大過ぎて、直接(野中さんに)は言えません。母が、付き合ってるんじゃないかと思うくらい仲がいいので、そこを利用させてもらったほうがいいんです」と笑いを誘う。

最終日、沢は4Rと11Rに出走する。4カド選択などは考えていないのか尋ねると「クビになりかけたら考えるかもしれませんけど、少なくともこの2、3年はありません」と強い意志を見せる。

(平和島の)チルト3丼を食べて育った記者にとって、チルト跳ねや伸び仕様については気になるところ。それには「僕は、伸ばしていってのまくり狙いではなく、(まくり)差しが基本の考えです。ですから、伸びは付けばそれに越したことはないですけど、そこにこだわってはいません」と明かす。

また、ピットで見ていると、スタートポジションに向かって来る(横に流している)とき、必ず手袋を締め直す。「あれは、験かつぎではないんですけど、ルーティンですね」という。

ピットアウトしてから大きく回っている間、何を考えているのかを尋ねた。

「風を見ているんです。まず、スタートラインの旗の動きをゆっくり見る。そして、大きく回り込んで、横に流す前は、(ピットの)競技棟の上にある旗を見ています。その時に、突然ふっといやな予感が降臨してくる時があるんです。そういう時は(気をつけて)、結果的にスタートが遅れます」とさまざまな謎を解いてくれた。

20日の夕方、レース終わりの沢が徳山駅でタクシーを降りて、コンコースに向かってダッシュする姿を見ることができるかもしれない。ファンの方にお願いしたい。どうかそっと見送ってあげていただけないだろうか。いい人過ぎて、サインには絶対に応じてしまうはずだ。沢はそういう人なんです。