今季名古屋グランパスに加入した元ブラジル代表FWジョー(31)は、昨季のブラジル全国選手権で優勝し、自らは得点王とMVPを獲得した。サッカー王国からやって来た助っ人は、日本のストライカーの弱点をチクリと突いた。

 シンプルな答えだった。1月に来日したジョー。新天地で練習、試合を重ねるうちに気がついた。「とにかく練習が足りない」。世界的なストライカーから見て、日本人の決定力不足の原因は明らかだった。

 Jリーグの多くのクラブで1~2時間の全体練習後、個人的に居残り練習を行っている。FW陣はシュート練習をすることがほとんど。だが、毎日欠かさずやる選手、クラブばかりとは言えない。ジョーもそれを感じていた。「バスケットボールと一緒。繰り返しシュート練習をすれば質は高まってくる。細かいところを練習していけばもっとベストを尽くせると思う」。

 ブラジルで得点王に輝いた男はどのような練習をしていたのか。「試合が多いので、全体練習はあまり激しくない。残って選手が自分たちで質を高める練習をする」。ただ黙々とシュートを打てば質が高まるわけでもない。「コーチ陣がDFの役割をしてくれる」といい、プレッシャーを受けた状況でワンツーパスを入れたり、DFを背負いながらかわしてシュートするといった、実戦に近い形で技術を磨いていく。日本の場合、居残り練習はフリーでシュートを打つ形が多く、量、質ともサッカー王国に及ばない。

 ブラジルでは体が出来上がった高校生世代から軸足の置き方や体の位置、使い方、ポジショニングを教わる。それを居残りで練習で、体に染み込ませる。その習慣はプロになっても変わらない。「名古屋でも何人か残ってフィニッシュの練習をしているけど、毎日毎日クセをつけていかないと。そうすればもっとパーフェクトになるはず」。

 練習を積む以外に日本はどうすれば世界相手に点を取れるのか。「スピードを生かすこと。スピードを使ってニアサイドを狙ったり、相手より1歩前に出ればゴールを決められる」。ジョーの意見はまたもシンプルだった。長年言われる決定力不足。改善の道は身近なところにあるのかもしれない。【小杉舞】