【アルアイン(UAE)22日】日本のサムライはここでも戦う。日本(FIFAランク51位)が今日23日、W杯アジア最終予選でUAE(同68位)とアウェーで対戦する。昨年9月のホーム戦では1-2の逆転負けを喫した難敵で、バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は公式会見で「W杯に行くための、決定的な試合になるかもしれない」と決戦ムードを強調。野球に続き、サムライが国際試合で2日連続、不覚を取るような悪夢はごめんだ。

 公式会見で、ハリルホジッチ監督は不気味なほど落ち着いていた。決戦を前に「難しい試合になるが、ここに勝つために来た」。9月のホーム埼玉での初戦でUAEに敗れた。この“不始末”で、日本のB組は大混戦。折り返しの5試合を消化しサウジアラビア、日本、オーストラリア、UAEが勝ち点1差にひしめく。「4チームに可能性がある。最終節まで分からないだろう」。万が一、UAEに敗れるようなことがあれば2試合で勝ち点6を渡す計算。4位転落もあり得る。まさに大一番だ。

 17年の初戦を前に不動の主将、MF長谷部が右膝のけがで離脱した。主将不在の危機。代役に「候補は何人かいる。マヤ(吉田)、森重、ユート(長友)。何人かに可能性がある。重要なこと。選手とディスカッションして、今夜決めたい。ただ、1人だけではありません、何人かキャプテンがいる」と力を結集し乗り切る覚悟だ。ただし、本来なら主将の有力な代役候補のFW本田の名はなし。エースを昨年11月のサウジアラビア戦に続き、先発から外す決断を下したようだ。

 冒頭が公開された公式練習ではMF高萩が不在だった。痛めていた右足親指が悪化し宿舎で調整した。欠場が濃厚で、長谷部が離脱した守備的MFはさらに手薄になった。非公開練習では、温めていた新布陣をテストした模様だ。関係者によると、中盤の底にMF山口を置き、その前、右にMF香川、左にMF今野を置いた。ベテラン今野には相手の主軸MFのO・アブドゥルラフマン封じのミッションを託すとみられる。

 前回のUAE戦は誤審ともとれる微妙な判定に振り回された。試合はアジアを代表するウズベキスタン人のイルマトフ主審が裁くが「W杯に行くための、決定的な試合になるかもしれない。正確な笛を吹いてほしい」。普段はほとんどしゃべらない英語でわざわざ「I hope(そう願う)」としつこく言った。

 国民を熱狂させたWBCで小さなボールの侍はUSAに負け戦で散った。こちらハリルのサムライたちはUAE戦を勝ち戦にしてみせる。【八反誠】