【リエージュ(ベルギー)24日=八反誠】日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が24日、W杯(ワールドカップ)ロシア大会1次リーグ初戦の相手コロンビアの異次元の強さに打ちのめされた。1-1で引き分けた23日の国際親善試合マリ戦後、車で片道3時間半かけ隣国フランスのパリ近郊サンドニに急行し、フランス-コロンビア戦を視察。3-2で逆転勝ちした南米の強豪の強さを目の当たりにし「衝撃的」とショックを受けた。一夜明け、練習前の円陣で12分21秒もげきを飛ばした。次戦は27日にポーランドを想定したウクライナ代表が相手となる。

 視察に出向いたコロンビアの強さに打ちのめされ、深夜にリエージュに戻り「今日はちょっと、ねむれそうにない」と言ってから9時間。ハリルホジッチ監督は怒っていた。練習開始の円陣は12分21秒でこの遠征最長。途中「ハセ!!」とMF長谷部に声を荒らげるなど、激しい曲の指揮者のような動きでカツを入れた。選手たちには「現実を見ろ。マリとの試合のようなパフォーマンスではW杯(で求められるレベルから)は遠い」と強調した。

 頑固だが、とにかく正直な指揮官の言葉にうそはない。マリ戦後に往復7時間、計700キロの視察の旅を終え、宿舎があるリエージュ市内に戻ったのが深夜2時。「衝撃的でした。特に後半は非常にハイレベルだった」。具体的な強さについて「すべて。パワー、スピードを生かした中の技術、ゲームコントロール、DFもしっかりできていた。衝撃的」と分析した。

 混雑を避け、終了10分前に席を立った。この時点で2-2だったが「このままコロンビアが勝つでしょう」と“予言”。言葉通り、ハリル不在の会場でコロンビアが決勝点を挙げた。

 直前にガラガラのスタジアムで試合をした日本は、W杯にも出ないマリと引き分けるのが精いっぱいで、大いに落胆。その上、想像以上の強さを目の当たりにし“ダブルパンチ”でもうダウン寸前。「コロンビアと日本の差は?」という質問にはついに「ノーコメントです」と回答。就任以来、ほとんど聞いたことのない反応が、ショックの大きさを物語っていた。

 自宅も構えるフランスの強さは知り尽くしている。その強豪にアウェーでたくましく逆転勝ち。「付け入るスキは?」と聞かれ「まあ、もちろんあるんですが。それは今日見る前から見つけていたが、だけど、そこを突けるか…」。W杯まであと81日しかない。