日本(FIFAランキング50位)の森保一監督(50)が、年内最終戦で全選手を平等に試す。19日、愛知・豊田市内で今日20日の国際親善試合キルギス(同90位)戦の前日会見に出席し「先発を大幅に入れ替える」と予告。16日ベネズエラ戦と合わせ、今月招集された全23人に出場の可能性が出てきた。98年以降の国際Aマッチ期間で、海外組を含んだ編成での全員起用が実現すれば初めて。アジア杯UAE大会(来年1月5日開幕)前、最後の試合が前例のないサバイバルになる。

森保監督が会見の第一声で明言した。「メンバーはベネズエラ戦から大幅に代えて臨みたい。より多くの選手を見たいので」。最終判断こそ当日になるが、先発11人全員を入れ替える大胆策が浮上した。「攻撃も守備も、もう1セットずつ選手層を厚くしたい。2チーム分の戦力を持ちたい」とも話し、前回サブだった全員がそのまま先発で試されても不自然ではなくなった。

実現すれば、ワールドカップ(W杯)に初出場した98年以降、海外組も含めたフルの代表で全員が起用される初めてのケースになる。この20年間で、国際Aマッチ招集メンバーが全員ピッチに立ったのは3回。まずはジーコ監督で04年2月と05年7月の東アジア杯で“達成”したが、ともに国内組だけの編成だった。3回目は西野監督。W杯ロシア大会直前の強化試合2戦で23人を全員起用した。この時は当然海外組もいたが、通常の親善試合とは状況が異なる。森保監督が、意外にも例がなかった全員起用の体現者になる。

長年その壁になってきたのが、基本的に3人いるGKだった。2試合で3番手まで出番が回ることはめったにないが、日本協会の関係者によると、森保監督はパナマ、ウルグアイと対戦した先月の2試合でGK3人を使う案を模索していたという。第1戦は権田、第2戦は東口とシュミットが45分ずつ-。実際は権田と東口が1試合ずつ分け合ったが、検討を裏付けるように、今月の第1戦でシュミットを代表初先発させた。第3GKと思われた男が上々の出来で競争を激化させただけに、森保監督がさらなる底上げのため、今回は東口と権田を前後半ずつ競わせることも考えられる。

既に先月の2試合で、フィールド選手20人の全員起用は“達成”した。アジア杯前、最後の親善試合となるキルギス戦へ「次につながる戦いをしたい」。ここでGKまで含めた全員にチャンスを与えれば、これ以上ないほどに選考の説得力が増してくる。【木下淳】