DF塩谷司(30=アルアイン)が代表初得点で日本代表を救った。日本(FIFAランク50位)は1次リーグ第3戦でウズベキスタン(同95位)に2-1で逆転勝利。同点の後半13分、こぼれ球に反応し、左足の強烈なミドルシュートを突き刺した。3年3カ月ぶりに日本代表へ復帰し“地元”へ凱旋(がいせん)。森保ジャパンデビュー戦で結果を残した。日本はF組を首位で通過し、21日に決勝トーナメント1回戦をサウジアラビアとシャルジャで戦う。

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“地元”の声援に塩谷の左足が火を吹いた。同点の後半13分、中央22メートルからこぼれ球に反応。左足を一閃(いっせん)してゴールネットに突き刺した。逆転勝ちで1次リーグを首位突破。先制点を奪われてリズムを失いかけたチームを救った。

「頭が真っ白になった。今日はボランチだったのでどうにかミドルシュート打ちたいなというのは思っていた。セットプレー崩れからだったけど、自分の良さが1つ出せたんじゃないかな。コースが見えていたので、枠だけ外さないことと、低く抑えることは意識した」

3年3カ月ぶりの日本代表戦。17年に広島からアルアインへ移籍したのも代表復帰を目標に掲げていたから。「代表でのサッカーはすごくレベルが高い。まだまだ日本代表でサッカーしたいなという欲が出てきた」。アルアインではセンターバック、両サイドバック、ボランチと万能性を磨いた。追加招集で広島時代の恩師が指揮を執る森保ジャパン入り。元同僚のMF青山とボランチを組み、中盤に安定感をもたらした。

「基本的には青ちゃん(青山)に頼りっぱなしだったので、自分にできることを考えた時に相手つぶすことやセカンドボール(を拾うこと)は意識していた。青ちゃんが気を使ってやりやすいようにやってくれた」

想像以上に厳しかった中東での生活。自宅のシャワーが壊れ、50度の熱湯しか出なかったり、クーラーの故障でサウナ状態で過ごさなければいけないこともあった。真夏はナイターでも気温42度の中でプレーをすることも。だが、どんな環境に置かれても全て前向きに捉えることができた。

「昔本田(圭佑)さんが『海外に行くチャンスがあるなら(外に)出た方がいいよ』という話をしていたけど、その意味がすごく分かる。こっちに来て精神的に強くなった。日本にいた時は自分にとってやりやすい環境にずっといた。こっちではいろいろ大変なこともあったけど、それは全て自分の力になっている」

前回大会は出番なし、今回も1次リーグの2試合でチャンスは回って来なかった。それでも下は向かずに「前回まだまだ自分が未熟だったので試合出られなかった。今回は追加で呼ばれて1日1日自分にできることをしようとやってきて、いい準備ができた結果、今日のパフォーマンスにつながったのかな」。30歳になっても高みを目指す姿は、若手が多い森保ジャパンにとって1つのお手本。塩谷はこの日ゴールでそれを示した。

目標にしていた首位突破。2大会ぶり5度目の優勝へ総力戦で決勝トーナメントへ向かうことができる。「最後全部勝ったチームが強い」。塩谷にとっても、日本にとっても本当の勝負はここから始まる。【小杉舞】

◆塩谷司(しおたに・つかさ)1988年(昭63)12月5日、徳島県小松島市生まれ。大塚FC(現徳島)ジュニアユース-徳島商。国士舘大時代は無名だったが、同校コーチだった元日本代表DF柱谷哲二氏がJ2水戸の監督に就任することになり、11年に水戸入り。1年目から活躍し、12年8月に広島へ完全移籍。13年にJ1で2連覇、15年のJ1制覇に貢献。17年にUAEの強豪アルアインに完全移籍。昨年12月のクラブW杯では決勝へ勝ち進み、Rマドリードを相手にゴールした(1-4負け)。国際Aマッチ3試合1得点。182センチ、80キロ。