日本代表MF南野拓実(24=ザルツブルク)が一発勝負の決勝トーナメント(T)で真のエースへと駆け上がる。ここまで無得点の森保ジャパンの象徴は、21日のサウジアラビアとの同1回戦にもトップ下で先発が濃厚。期待のエース候補は優勝した11年カタール大会の決勝Tで爆発したドルトムントMF香川真司(29)のように、ここから真価を発揮する。この日は試合の舞台となるドバイ近郊のシャルジャで公式会見と練習を行った。

エース候補から真のエースへ-。一発勝負の決勝Tで南野に求められることは至ってシンプルだ。大黒柱FW大迫の出場が依然不透明な中、チームを救うためのゴール。この日はDF長友やMF堂安らとパス回しして芝の感触を確かめた。森保ジャパン初陣から3戦4発で現体制では大迫と並ぶ、最多タイ4得点。1次リーグ(L)は出場2試合で無得点だが、ゴールへのイメージはできている。

「決勝トーナメントは1点の重みが増してくる。先制点が大事。僕個人としては1次リーグよりも決めきるところがより重要になる。アグレッシブにいきたい」

先輩の背中を追う。11年大会、アジア杯で結果を残しエースへと成長したのが当時21歳の香川だった。16強入りしたW杯南アフリカ大会後のザックジャパンで新10番として期待されていた。重圧から1次Lは無得点だったが、決勝T初戦で開催国のカタール相手に2ゴール。リードを2度許す苦しい展開も、決勝点もアシストし勝利に導いた。アジア杯から始まった香川のエースロード。C大阪時代から追い続ける先輩のように、日本代表のエースとなるには、国際大会でのゴールは不可欠だ。

アジアでは苦しんできたが乗り越える時だ。14年のU-19アジア選手権では北朝鮮との決勝T初戦、PK戦の5人目で失敗し敗退。翌年のU-20W杯出場を逃した。リオ五輪出場権を懸けた16年のU-23アジア選手権は1次Lのサウジアラビア戦でアシストを記録も4試合無得点だった。年代別で日本を背負って戦ってきたが、もう24歳。16日に誕生日を迎えて以後、初の出場試合となることが確実だ。「負けたら終わりで緊張感は増してくる。だけど今まで通り。気負いはない」と平常心を強調した。

ここまでFW大迫、MF堂安、原口ら、南野以外の前線の主力は得点している。11年の香川もFW前田、MF本田、岡崎が得点する中でもがいていたが、中東の地で中東相手に2得点し、上昇気流をつかまえた。似た状況だ。今こそ重圧に打ち勝つ時。「今まで個人として結果が出ていない。得点かアシストでチームに貢献したい」。2大会ぶりの優勝へ、UAEにエース「南野拓実」の名を刻む。【小杉舞】