2位鹿島が19歳のプロ初V弾で生き残った。首位広島と同勝ち点で迎えた柏戦に、逆転勝ち。後半ロスタイム1分、途中出場したユース出身のFW鈴木優磨が決勝点を挙げ、逆転優勝へ望みをつないだ。

 MFカイオが右から放ったシュートが左へ切れそうになる。そこにいた。左足を合わせ、GK菅野の体ごとゴールラインの向こうに押し込んだ。絶叫し、膝から芝に滑り込んだ。「頭が真っ白。覚えてません」。

 先月12日のG大阪戦でデビュー戦ゴールも、1-2で敗れて笑えなかった。この日は一転、ロッカールームで「持ってる」と調子に乗り、突っ込まれながらもMF中村から「あそこに詰めない選手がプロでも山ほどいる中、詰めていた。優磨らしい」と絶賛された。

 中学から鹿島の下部組織で育ち、高校2年の時にトップチームの宮崎合宿に参加。鼻をへし折られた。「それまで俺が日本で一番だと思っていたけど、一番へたくそだった」。以来、クラブの歴代最多得点(89点)を誇る長谷川祥之スカウトを質問攻め。今年9月、手倉森ジャパンに最年少で呼ばれるまで猛練習した。

 3日前に天皇杯でJ2水戸に敗れ、自分を含む先発全員が外された。汚名返上し、観戦したレオナルド氏を喜ばせた一撃。そのOBが活躍し、リーグ制覇した96年生まれは「レオさんたちが作った歴史に新たな1ページを加えたい」と声を弾ませた。ステージ優勝してのチャンピオンシップ進出へ残り3戦。ラッキーボーイが広島と事実上の一騎打ちに導いた。【木下淳】

 ◆鈴木優磨(すずき・ゆうま)1996年(平8)4月26日、千葉県銚子市生まれ。小学校1年の時に競技を始め、鹿島のジュニアユースからユース。高校3年時のJユース杯で優勝した。14年に2種登録されて15年にトップ昇格。今季前半はJ3のU-22選抜で経験を積んだ。J1通算4試合2得点。利き足は右。180センチ、68キロ。血液型B。