横浜F・マリノスからジュビロ磐田へ完全移籍した元日本代表MF中村俊輔(38)の新天地デビュー戦は、引き分けに終わった。セレッソ大阪戦にトップ下で先発。クラブ方針や監督とのサッカー観の違いに苦しみ、「純粋にボールを追いかけたい」と、横浜を離れて迎えた新たな1歩。昨年7月23日の第2ステージ横浜-磐田戦(日産スタジアム)以来約7カ月ぶりのフル出場を果たし、「集中もしていたし、短かったですね」と充実感を漂わせた。

 さすがの存在感だった。前半45分に左サイドで獲得したFKはMFアダイウトン、後半14分の右CKではDF大井へ、いずれも頭にピンポイントで合わせた。走行距離は両チーム最長の12・637キロ。中盤の底まで下がってボールに触るなど縦横無尽に走り回った。守備陣の奮闘もあり、敵地で最低限の勝ち点1は手にした。「(勝ち点)1以上のものは得られたと思う。しっかり、その部分をチーム全員で共有していきたい」と手応えを口にした。

 中村俊への期待は大きく、敵地に約2500人のサポーターが駆けつけた。ゴール裏からは、TRFの名曲「EZ DO DANCE」の歌詞を替えた応援歌が送られた。次節の4日、ホーム開幕仙台戦のチケットは完売状態で、中村俊は「サポーターに恩返しするチャンス」と言った。勝てなくても「磐田の俊輔」が確かなスタートを切った。【前田和哉】