柏レイソルの苦労人が、チームを5連勝と節目のJ1通算300勝に導いた。MF手塚康平(21)が全得点に絡んだ。前半33分、DF鎌田からのパスを左足ミドルでゴール左隅に突き刺した。後半開始40秒には、FW伊東の追加点の起点となるスルーパスを通した。「枠に向かって思いっきり飛ばした」と史上9チーム目となる通算300勝に花を添える得点を振り返った。

 18歳で挫折を味わった。ユース時代の仲間がトップ契約する中、目標だったトップチームの契約を保留された。ユース時代、ともに戦ったDF中山はレギュラーとなり、現在はU-20(20歳以下)W杯の日本代表に選出されている。高校卒業後、選んだ道はニュージーランドへの武者修行。セミプロリーグで半年間、球際の激しさとフィジカルを高め「素早いボールさばきを得た」と、リーグ終了後に自信を高めて帰国したものの、Jリーグの登録期限に間に合わず、練習生として柏に戻った。16年にようやく契約したが、今度はけがに悩まされた。

 今季の手塚は一味違う。プロデビュー戦となった3月15日のルヴァン杯清水エスパルス戦ではボレーで初ゴールし「点を決められるボランチになれば使ってもらえる」と冷静に分析。その後、リーグ戦でも出場機会をつかんだ。4月30日のアルビレックス新潟戦ではFKを自ら志願し、リーグ戦初得点を挙げた。下平監督は「課題だったフィジカルが少しずつ克服できて、今日のパフォーマンスは素晴らしかった」と太鼓判を押した。

 チームは第2節から3連敗と低迷したが、手塚がデビューした第5節から6勝1敗で3位に浮上。ニュージーランド仕込みの若い力が、柏を上昇気流に乗せた。【戸田月菜】

 ◆手塚康平(てづか・こうへい)1996年(平8)4月6日、栃木・宇都宮市生まれ。柏U-15、柏ユースを経て、15年にニュージーランドのオネハンガスポーツに短期留学し、16年に柏とプロ契約。今年4月1日の広島戦でJリーグ初出場。4月30日の新潟戦でJ初得点。今季はリーグ戦出場7試合はすべて先発。176センチ、66キロ。