ヴァンフォーレ甲府の吉田達磨監督(42)にとって「古巣」に恩返しの勝利になった。「ここ(デンカS)で勝つことは、僕の中では1・2倍くらいのうれしさがあります」と素直に喜びを表現した。

 昨季アルビレックス新潟の監督に就任したが、9月に成績不振で解任。甲府の指揮官として対戦することになった今季はホームでのリーグ戦で0-2で敗れていた。「選手たちも、そのあたり感じてファイトしてくれたと思う」と振り返った。

 後半24分にMFオリヴァー・ボザニッチ(28)がPKを決めて先制。41分にはDF土屋征夫(42)の右クロスから途中出場のMF保坂一成(34)が追加点。勢いを途切れさせなかった選手たちの闘志を感じ取った。

 新潟には感謝の気持ちが強い。「最後はああいう形(解任)であいさつもできなかったけど、(在任中は)サポーター、選手、クラブから熱さを感じさせてもらった」。それだけに自身の中での勝利の意味は大きかった。

 勝ち点を5とした試合直後は甲府に1次リーグ突破の可能性が残っていたが、3位を争う横浜F・マリノスがサガン鳥栖を下して勝ち点9に。その結果、残り1試合を残して1次リーグ敗退が決まった。それでも「次はリーグ戦に向けていい準備をしたい」。指揮官の表情には、1つのけじめをつけた晴れやかさがあった。