湘南ベルマーレMF高山薫が(29)が、右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷し、全治8カ月の診断を受けて戦線を離脱した3月25日のジェフユナイテッド千葉戦以来、約8カ月ぶりに先発し後半23分までプレーした。

 高山は最終戦のセレモニーで「今年は大きなケガをしてしまい、なかなか試合に出られませんでしたが、改めてピッチの外で試合を見て、サポーターの皆さんの熱さと、湘南を愛する気持ちを本当に感じることが出来ました。そういった力がJ2優勝、J1昇格という形になったと思っています」と感謝した。

 16年に主将としてチームを降格させてしまい「J1で全然…ふがいないというか、自分が何も出来ない気持ちがあった」と責任を痛感。17年は捲土(けんど)重来を期して、2季連続で主将に就任したが、開幕からわずか5試合で重傷を負った。それから8カ月…キャプテンマークを巻き、先発に戻った。

 高山は「これだけサッカーをやらなかったことは、人生でなかった。新鮮な気持ちでピッチに立てた。高ぶる感情はあったし…そういう気持ちは大事。サポーターの大切さを知ることは出来た。試合前に、こういう気持ちで試合できることって、なかなかないから、すごい幸せと思えたのは良かった」と感慨深げに語った。

 J1川崎フロンターレの下部組織の頃から高山を指導する“恩師”曹貴裁監督(48)も、高山へのあふれんばかりの思いを吐露した。会見での質疑応答の中で、一部から高山の評価について聞かれると「評価は100点であり0点であるということ。何を言いたいかというと…彼がいない場で良かった、悪かったと話すのは、彼の思いに反する。彼がいないところで彼の話をする気には全くなれない」と制した。その上で、高山の気持ちをおもんばかりつつ、続けた。

 曹監督 薫は、ずっとうちのチームにいて、強くなりたい、うまくなりたいという気持ちが強い子。その分、神経質になりがち。半歩でも1歩でもいい…乗り越えながら大きくなって欲しい。キャプテンとしてピッチに立てなかった、じくじたる思いも想像に難くない。この1年間の経験が彼にとって必要だったんじゃないかと最近は思う。

 高山は、曹監督の言葉を伝え聞くと「これから…ここから自分が、どうするか」と気を引き締めた。そして「(コンディションは)明らかに戻らないとかは、なかった。とにかくJ1はレベルが高い。経験を生かせれば大丈夫。勇気と覚悟を持って頑張りたい」とJ1への意欲を口にした。【村上幸将】