J1セレッソ大阪の尹晶煥監督(44)は、延長後半5分に値千金の決勝弾を決めた、サガン鳥栖時代からの“愛弟子”MF水沼宏太(27)について聞かれ「僕のことを知り尽くしているので、気を付ける必要があります」と笑いながら言い、会見に集まった報道陣を笑わせた。

 尹監督は11年から14年まで鳥栖を率い、その間、水沼は13年から15年まで同クラブでプレーし、16年に移籍したFC東京から、期限付き移籍で今季、C大阪に加入した。

 尹監督にとって、水沼の存在は相当、大きかったようだ。「17年、順調にいけたのは、水沼選手があったからと言っても過言ではない。僕の考えを選手たちに伝えてくれて、サッカースタイルもそうですが、いろいろな部分で僕の出来ない仕事を影で頑張ってくれた。主将でも副主将でもないですが、チームで成し遂げなければという気持ちが強かったと思います」と手放しで感謝した。

 延長前半5分に、水沼が頭で決めた決勝弾についても「今日、決勝ゴールをヘッドで決めたのは、初めて見た。それくらい本人が努力したから、この結果につながったのではないか? そういう選手がいれば、誰であっても僕がサポートしなければいけない。それがチームの力になると信じていたからです」と揺るぎない信頼関係をのぞかせた。

 質疑応答の中で、昨季、J1昇格プレーオフを勝ち抜いたチームが天皇杯、ルヴァン杯の2冠を勝ち取ったことに対して「以前、勝ちきれなかったチームの何を変えた?」と質問が出た。尹監督は「昨日、同じ質問をされましたが、逆に皆さんに質問したい。我々の選手は、何が変わりましたか?」と逆質問した。

 その上で「僕は就任して1年がたちましたが、僕が来る前、選手はどういう姿だったから、こういう質問を受けるのかが気になる。原因として1つ、取り上げられるとしたら、勝とうとする姿勢、そしてチームとしてやろうとするプレーを、1人じゃなく全員でやるのが表現できた。自己犠牲の精神で、最後まで走るのが1番、変貌したところじゃないでしょか? それが体と精神に染み付き、勝利への原動力になったと思う」と今季の躍進を分析した。【村上幸将】