ベガルタ仙台渡辺晋監督(44)が、情熱指導で沖縄キャンプを本格始動させた。16日、糸満市西崎運動公園陸上競技場で初日の練習に臨み、オーバーアクションで選手を鼓舞。同監督はオフにスペイン1部リーグのバレンシアで研修しており、情熱の国から受けた影響が、ピッチ上で熱く表現されていた。ミーティングでは今季の目標を「リーグ戦トップ5、カップ戦ファイナリスト」と、全員へ明確に打ち出し、開幕戦へ向けて大きく帆を揚げた。

 ピッチ上に、ミステリーサークルのような直径18・2メートルの円が4つ描かれた。その中で、4対4に2人のフリーマンが配置された対戦型のボール回しが行われた。「ナイス! ナイス! グー! グー!」。選手が縦パスを通すたび、渡辺監督はフラメンコダンサーのように熱い手拍子を打ち鳴らし、何度も鼓舞した。このオフにスペイン・バレンシアでの海外研修で培ったパッションを、熱く表現した。

 渡辺監督 海外に行って見たり聞いたりしたことにトライしていこうと。特に(指導者の)熱さは参考になったので今日は自然と熱が入りました。うちの戦術では肝となる基本練習。判断を明確にして攻撃ではボールを前進させること。守備では縦を割らせない選手が新しい選手に教えてくれれば相乗効果にもなる。本質をぶらさずに、よりブラッシュアップさせていきたい。

 練習後は選手とのコミュニケーションも積極的に行った。午前中はMF茂木とピッチ上で個人面談。午後にはDF大岩一貴、MF奥埜博亮(ともに28)を呼び、約5分間、思いを伝えた。

 渡辺監督 いつもやっていることですよ。全員と話します。昨年までは選手からのリアクションを待っていたところがありましたが、今年は伝えなければならないことはその場で伝えていこうと思っています。

 練習前のミーティングでは、今季の目標をリーグ戦トップ5入りとイレブンに伝えた。

 渡辺監督 ルヴァン杯(準決勝敗退)で悔しい思いをしたとき、そう簡単じゃないなと感じた。今年は本気でそれを取りにいくということを確認する意味で、ミーティングをしました。その目標を成し遂げるためには球際、切り替え、走力の3つと、自律(自立)、共有、諦めないことの3つを意識づけていこうを伝えました。

 情熱を全面的に打ち出して、ベガルタが1歩を踏み出した。【下田雄一】