V・ファーレン長崎の高田明社長(69)は24日、長崎市内に新たなホームスタジアムの建設を検討している件について「この市でなければいけないというマストではないと思っています。でも選択肢の中で、そこが1番、集客の立場からも出来るのではないかという考えの中でやっている」と語った。

 長崎は同県諫早市のトランスコスモススタジアム長崎をホームにしているが、アクセスに問題があるとの声があり、高田社長もその点を認めている。その中、三菱重工が公募し16日に応募を締め切った、JR長崎駅の北約500メートルにある、本年度末に閉鎖する長崎造船所幸町工場の跡地約7ヘクタールの事業者公募に、ジャパネットホールディングスが入札したもようと一部で報じられた。公募にはジャパネットホールディングスのほか、JR九州など複数が応募しているとも報じられている。

 高田社長は24日の湘南ベルマーレとの開幕戦後、記者の取材に応じた。その中で、22日に長崎市の田上富久市長を訪ね、同市内にホームスタジアム建設を検討していることを明らかにした件について質問を受けた。報道を踏まえ「具体的なことは、あまり語るべきじゃないと思う。報道で出ている企業の一端と考えてもらえばいい」と入札については認めた。その上で「サッカーを通して何が出来るか。今、長崎を元気にするって、どういうことかということに、本気で取り組む姿の1つと考えてもらうといい」と、故郷の長崎を盛り上げたい思いから動いていると語った。

 一方で「スタジアム構想をジャパネットホールディングスがやろうというのは、ビジネスから考えたら投資は厳しいです。でも、そこの部分じゃないんですよね」と、ビジネス面を度外視していることも強調。その上で「私と、ホールディングスの…長男ですけど、考えているものは一致している。そういう思いの中に、3月に入る頃だから、そういうお話も少ししていいのかなというので、そういう発言をしたということ」と親会社のジャパネットホールディングス社長であり長男の旭人氏とも考えが一致しているとも断言した。

 また長崎市の入札について「場所(長崎市)は人口が1番多い、アクセスがすごくいいということ」と語る一方で「極端に言えば、長崎県全部がホームタウンなんですね。対馬も平戸も、みんな。(新スタジアムが)ある島に出来て、そこに全部が集まって、長崎が栄えるようなチーム作りをしていくべきじゃないかなという思いの中で…。非常にハードルも高いですけど、やろうとしています。分かりません、結果はどうなるか…」とも語った。

 トランスコスモススタジアム長崎では、3月3日にサガン鳥栖とのホーム開幕戦、10日には浦和レッズ戦と大きな連戦が控える。高田社長は、アクセスの改善に苦慮して取り組んでいることも明かした。「ここ2カ月、寝ずに考えるくらいアクセスの問題があって。有料、無料駐車場、シャトルバス、JRの列車…末端の細かいところまで変えていかないと、うまくいかない。3、10日は検証する1番の機会で、変えるべきところは変えていく」とアクセス問題に正面から取り組む姿勢を示した。【村上幸将】