鹿島アントラーズの日本代表トリオがW杯ロシア大会1次リーグ初戦で対戦する“仮想敵”を封じた。昌子源、植田直通の両センターバックとボランチのMF三竿健斗が連係し、サガン鳥栖の元コロンビア代表FWビクトル・イバルボを厳しくチェック。残り20分間のパワープレーにも耐え、前半14分のFW金崎夢生の先制弾を守り抜き、1-0で勝利した。J1は日本代表の活動で中断し、30日に再開する。

 試合終了の笛が鳴ると、昌子は両手を膝についてうなだれた。勝ったにもかかわらず。もう体を起こす力も残っていなかった。それが、激闘を物語っていた。

 「しんどい。本当にしんどかった。後半は45分間攻められていたんじゃないかというぐらい」。前半14分に先制した。そこからロスタイムを含めれば計81分間、守り抜いた。残り20分間も鳥栖のパワープレーを受け続けた。それは水中で息を止め、耐え忍ぶような時間だった。

 対イバルボ。圧倒的な身体能力を持ち、14年のW杯ブラジル大会にも出場した元コロンビア代表への対応が、最大の焦点だった。

 そこでまず、ロングボールに競り合う役を三竿健が担った。競り負けても両センターバックが控える。「1人が負けても後ろでしっかりカバーしていれば全然、大丈夫」と植田。抜かれても、昌子と植田が飛び込まずに時間をかけて中盤を待つ。「健斗が頑張ってくれたから、最後まで僕と(植田)ナオは動けた」と昌子は感謝した。

 貴重な先制点も対イバルボからだった。植田がプレッシャーをかけて、浮いたボールを足でつついた。それが鈴木、金崎とつながった。「最初は前を向かせないでおこうかなと思ったけど、ボールが落ち着いていなかったので、いけると思ってつついた」。いつもクールな植田も、勝利の瞬間は拳を突き上げていた。

 力、技、駆け引き-代表戦を前にした世界レベルの戦いでつかんだ手応え。「(イバルボのような)そういう選手がたくさんいるチームとやれるのは、非常に楽しみ」。代表合流に向かう三竿健の表情は、晴れやかだった。【今村健人】