JFLのホンダFCが、3年連続での天皇杯出場に王手をかけた。3-1でJ3藤枝MYFCに快勝。藤枝明誠出身で入団2年目のFW遠野大弥(19)が、2得点を挙げた。

 ホンダのダイヤが輝いた。前半4分、遠野はゴール左斜め45度の位置でボールを受けた。「(ゴールを)見ないで打ちました」。腰をひねりながら放った強烈な左足ミドルは、逆サイドのネットに突き刺さった。先制点については「入っちゃったゴールです」と謙虚に振り返ったが、2点目は得意の形だった。

 1-1で迎えた同42分、味方からのスルーパスで抜け出すと、鋭いターンで右足に持ち替えた。完全にDFを振り切り、そのまま右足で勝ち越しゴールを決めた。後半も切れ味鋭いドリブルで攻撃陣をけん引。今季公式戦初先発で躍動し、「結果を残せて良かったです」と白い歯を見せた。

 藤枝市生まれで、藤枝明誠3年時には全国選手権に出場した。地元のJクラブが相手だったこともあり、「負けたくなかった」。今季JFLでの先発出場はなく6試合1得点。リーグ戦に向けたアピールにも成功し「次につながります」。

 ホンダFCは、一昨年の天皇杯ではJ2岐阜、松本などのJクラブ勢を破り、16強入り。昨年は2回戦でPK戦の末にJ1磐田に敗れたが、格上を苦しめた。磐田戦に途中出場した遠野は、試合終了間際の延長後半15分に同点弾。強烈なインパクトを残し、天皇杯ならではの醍醐味(だいごみ)も味わっている。

 その喜びを再び味わうべく、決勝はJ3沼津と対する。格上だが、遠野は「食ってやろうという思いです」。恐れ知らずの19歳は。自らの足で天皇杯切符をつかむ決意だ。【神谷亮磨】