最多19冠を誇る鹿島アントラーズがどうしても阻まれていた壁。ACL決勝トーナメント1回戦。これを初めて打ち破った。2戦合計4-3で上海上港(中国)を退けて、10年ぶりに8強入りした。一夜明けた17日、選手らは成田空港に帰国した。現役時代も壁を破れず、号泣した経験を持つ大岩剛監督は「僕の現役時代は関係ない。今いる選手ら、このチームで乗り越えた。それが重要」と全員をたたえた。

 試合はDF昌子が「あの(植田)ナオが競っても胸でトラップする」と、強さに舌を巻いたFWフッキとMFオスカルの元ブラジル代表コンビに手を焼いた。昌子の頭でのクリアがハンドと取られる不可解なPKもあった。それでも、前半42分のMF土居の“おしゃれヒール”の左シュートが貴重なアウェーゴールとなり、最後まで効いた。第1戦のリードを守り抜いた。

 23日の抽選で決まる準々決勝(8月末)の相手は、全北と水原(韓国)天津権健(中国)のいずれか。ただ、その前の20日にはワールドカップの中断前最後のリーグ・ベガルタ仙台戦がある。DF植田は「次の仙台戦はすごい大事。ロッカーでみんな言っていたけど、仙台に負ければ意味がない」。鹿島に書き加えられた新たな歴史のページ。そこにはまだ、終わりを意味する「了」はない。【今村健人】