ベガルタ仙台の「秘密兵器」が今季初の実戦でベールを脱いだ。

高卒ルーキーのMF田中渉(18=桐生第一)が21日、沖縄・糸満市西崎陸上競技場で元日本代表FW高原直泰(39)が代表兼選手を務める沖縄SVとの練習試合に出場し、6-0の快勝に貢献した。4本目にダブルボランチの一角として出場すると、精度の高いスルーパスを連発。2得点に絡む活躍で、クラブ3人目となる高卒開幕スタメンへ猛アピールした。

隠し玉で一本釣りした高卒パサーの実力は本物だった。田中は4本目の開始直後、フリーの状態でボールを受けると、得意のスルーパス。相手DF裏のスペースに抜け出したFWジャーメイン良(23)の足もとにピンポイントパス。そこから流れたボールに詰めていたFW石原直樹(34)がゴールに流し込んだ。

同14分には、その石原に精度の高い縦パスを供給。追い風を読んで相手DFとGKの間の絶妙なスペースにボールを落とし、初アシストをマークした。中央からのパスで決定的シーンを何度も演出し、サイド攻撃主体のチームに新鮮なアクセントをもたらした。自らも鋭い左足ミドルでゴールを脅かし、「攻撃の部分では持ち味が出せた。顔を上げたときジャメ君、直さんが動きだしてくれていたので、ジャストなタイミングでボールを出すことができました。もっと精度を上げて、もっと点に絡んでいきたい」と手応えを口にした。渡辺晋監督(45)は「シンプルに狙えるところを狙えばゴールにつながる。スルーパスを出せるのがワタルの良さ。Jチーム相手では、あそこまでいい状態でパスを出せないかもしれませんが、何度もチャレンジしてくれました」と満足した。

攻撃面では開幕スタメンのアピールに成功したものの、課題も浮き彫りとなった。マークにアプローチするも、ボールを奪いきれずにカウンターを浴びるシーンも散見された。「守備面では激しさが足りなかったり、後手に回ってしまった。ポジショニングがずれて奪いきれないところがあったので、修正していきたい」。目標達成まで立ち止まるわけにはいかない。【下田雄一】