言い掛かり以外のなにものでもないという気もするのだが(笑い)現在のドイツ代表の衰退がマンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督(47)にあるとする説が出てきた。

ドイツは現在行われている欧州ネーションズリーグのリーグA1組で3試合を終えて勝ち点わずか1。フランスに1分け1敗、オランダに1敗し、早くもリーグB降格が決まってしまった。今夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会でも1次リーグF組で1勝2敗。韓国にまで0-2で完敗し、早々にロシアの地を後にした。

英サン紙(電子版)など複数の海外メディアが伊レプブリカ紙の情報を元に報じたところによると、母国の低迷について元西ドイツ代表DFのハンスペーター・ブリーゲル氏(63)が「グアルディオラ監督の負の影響のせいだ」と話しているという。

ブリーゲル氏はグアルディオラ監督がバイエルン・ミュンヘンを指揮していた13~16年の間、徹底的にポゼッション重視の戦術をたたきこんだと説明。また他クラブの監督もそれを追随した結果、ドイツ代表の選手たちがポゼッションばかりに気を取られ「サッカーでは試合運びよりも結果が大事という大切なことを忘れてしまった」のだという。

同氏は「グアルディオラがバイエルンに来てから何かが変わってしまった」「我々は勝利するには75%のボール保持率が必要だという幻想にとらわれている。だがポゼッションだけでは結果を得るには不十分だ」「W杯王者フランスは相手にボールを明け渡し、50%以下のポゼッションでも試合に勝てることを証明した」などと話している。

日本でもこれまでポゼッションなのか、守ってからのカウンターなのか、という議論が盛んに行われてきた。ザッケローニ監督時代は「アジアのバルセロナ」などと呼ばれ、ボール保持率も高かった。逆にハリルホジッチ監督は日本代表について「ボールを回しているだけでゴールへ迫る迫力がない」として、ボールを奪ってから手数をかけずに縦へ速く攻撃を仕掛けるサッカーを強化した。

個人的にはグアルディオラが率いていた時代のバルセロナのように最初から最後までボールを握り倒して、相手を圧倒して勝つサッカーが大好きだ。ただ戦術はその時いる選手によっても左右されるし、状況に応じてポゼッションもカウンターもできるチームは強いと思う。

いずれにしても、仮にグアルディオラのポゼッション・サッカーがドイツに負の影響を与えているという説が正しいとしたら、簡単にグアルディオラ色に染まりきってしまうサッカー大国ドイツって…。それはそれで、いかがなものかと思ってしまう。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)