ワールドカップ(W杯)ロシア大会1次リーグ初戦を落としたドイツは、決勝トーナメント進出に黄信号が灯っている。23日(日本時間24日午前3時)行われる第2戦スウェーデン戦の結果にも左右されるが、27日(日本時間27日午後11時)にキックオフの時を迎える韓国との第3戦は、サッカーが国技ともいえるドイツの国民にとって、見逃せない一戦となる。

 しかし、そんな一大イベントの観戦を禁じられてしまったのは、ブランデンブルク州の88人の政治家たちだ。

 大衆紙「ビルト」によると、最終戦と同じ27日に彼らは、連邦奨学金、農家相続法、そして公務員法などに関する重要な審議を予定しているという。そんな中、試合が行われている最中に2時間の休憩を入れるよう提案したのは、ドイツ・キリスト教民主同盟(CDU)のヤン・レトマン議員。彼はその理由について、「ドイツ代表の試合をすべて見ているのはなにも私だけではない。しかも今回はW杯という舞台。来週水曜に決勝トーナメント進出をかけて戦うのであれば、ぜひとも選手の背中を押してあげたい」と語ったようだ。

 しかしドイツ社会民主党(SPD)出身のマイク・ビショフ議員は、「ドイツ代表の試合を理由に、例えば土木作業員が2時間も手を休めることなどあるだろうか? 審議を優先させるべき。そのために我々はお金をもらっているのだから」と、これに真っ向から反論。さらに「ドイツのための選択肢(AfD)」のアンドレアス・ガラウ議員も、「仕事は仕事。ドイツ代表が負けて大会から去ることが決まっても、世界が終わるわけではない。それに、そもそも私はサッカーファンではない」と話しており、結果的に両者の意見が議長に認められ、第3戦のTV観戦は不可能となってしまった。

 ビルト紙によれば、大のサッカーファンであることを公言するレトマン議員は、最後まで恨み節を漏らしていたという。

 「議員の注意が散漫になっているような状況で重要な法案を決めるべきではない。ドイツ代表の試合中は審議を中断するべき、という私の案にノーを突きつけた者たちが、試合の最中も(抜け出さずに)ずっと議場にいるか、私はしっかりと見張っているつもりだ!」。