C大阪が、スペイン1部セビリアの日本代表MF清武弘嗣(27)を完全移籍で獲得することが1月31日、確実となった。C大阪が代理人を通じてセビリアと交渉していることを認め、深夜までに大筋で合意した。

 現地時間31日深夜0時(日本時間2月1日午前8時)の欧州移籍市場の期限までに、清武を選手登録から外す動きが本格化したと地元紙「エスタディオ・デポルティボ」が伝え、セビリアの公式ラジオも「キヨタケの登録を抹消する」と放送。昨年末の本紙取材に、清武は「日本(J1)に戻るとしたらC大阪しか考えられない」と話しており、心に決めた古巣への4年半ぶり復帰に前進した。ドイツや米MLSからのオファーも届いたが、清武の国内復帰への思いが上回った。

 金銭面の溝も埋めた。代理人を通じて届いた書類には、600万ユーロ(約7億2000万円)とされる移籍金の要求が明記。C大阪の玉田稔社長(63)は「出せる金額には上限がある」。大熊統括部長も「同意できるものではない。現状で難しい」と、満額の資金捻出に難色を示した。しかし、同社長は「キヨ(清武)が日本に戻りたいと言うのであれば、うちに帰ってきてほしい」と親心を見せ、粘り強く移籍金の減額、分割交渉を続けた。清武が登録抹消された場合、ほかに獲得の興味を示していた鳥栖や神戸に譲る気はない。そんな意志を明確に示した。

 先月28日にアルゼンチン1部ロサリオから同国代表MFモントヤを獲得したセビリアにも、清武ら3選手で埋まっている欧州連合(EU)圏外枠を空けたい思惑があった。公式ラジオも「モントヤを登録する」と伝え、C大阪との交渉に入っていた清武との入れ替えを示唆。移籍市場の締め切り間際に事態が急転した。

 玉田社長は「キヨにしても香川、乾にしても、うちから(欧州に)出た選手は元気なうちに戻したい。賛否はあるだろうが、セレッソで育った選手はセレッソに帰る。彼らには帰る場所があるということです」と“浪花節”で獲得への意欲を語っていた。正式にセビリア退団が決まれば、近日中にJリーグへの登録手続きを始める見通し。3日からの宮崎キャンプにいきなり合流する可能性もある。