セリエAは19日(日本時間20日)にユベントス-カリャリ戦で開幕し、日本代表DF長友佑都(30)のインテルミラノは20日(同21日)にフィオレンティナと対戦する。インテルはプレシーズンで好調で、ACミランは大型補強で覇権奪回を狙う。13日のイタリア・スーパー杯ではラツィオがユベントスに競り勝つなど、昨季とはひと味違った新シーズンになりそうだ。

<展望>

 リーグ6連覇中のユベントスが今季も優勝候補1番手に挙がる。夏に守備の要ボヌッチがACミランへ移籍したが、レベルの高いDF陣で穴を埋めていく。過去にもビダルやポグバが抜けるごとに力の低下が予想されたが、クラブは適切な選手を補強して乗り切ってきた。新たに背番号10をつけるディバラも序盤から真価を発揮したいところだ。

 今夏、アリアンツスタジアムと命名されたスタジアムをホームに7連覇を目指す。さらに状況判断に優れるアレグリ監督は、昨季目前で逃した欧州チャンピオンズリーグ優勝も狙っていくはずだ。負けることを忌み嫌う闘魂たくましいユベントススピリッツが再びよみがえりつつある。

 この春に中国人オーナーとなったミランは、夏に総計2億1100万ユーロ(約274億円)以上の資金を費やして選手を補強した。イタリアのクラブがこれほどの高額資金をつぎ込んだことは過去にない。中でもユベントスから獲得した経験豊富なボヌッチとラツィオからのビリヤの加入は大きい。フロントが準備した優秀な駒はそろっている。それらの選手たちからいかに力を引き出すことができるか、モンテッラ監督の手腕の見せどころとなるだろう。

 長友のインテルはスパレッティ新監督が夏から勢いよくチームを動かしている。プレシーズンマッチ8試合で、6勝1分け1敗という好成績。得点は13で、失点は6。技術の高さを示したスクニアールやバレロが、レベルアップに大きく貢献することが期待される。今年でイタリア8年目となる長友はニースから移籍したダルベルトとのポジション争いが気になるところだが、持ち前の万能性を生かしてレギュラーを勝ち取ることができるかどうか注目したい。

 ローマはトッティが引退して幹部となり、サッスオーロで一目置かれるようになったディフランチェスコが監督となった。この2人はローマでの元同僚でクラブに対する思い強い。そこにセビリアからの敏腕モンチ技術部長が得意の補強戦略で手を貸す。移籍がうわさされたナインゴランが契約更新したことは大きい上、昨季得点王となったジェコのさらなる飛躍が期待される。

 ナポリは選手の変更がほとんどない。昨季最高の出来でタイトルだけが欠けていたチームで戦い続けていく。ハムシク、カイエホン、メルテンス、インシーニェという息の合った猛スピードの攻撃陣を阻止できる敵は少ないだろう。

 また昨季若手を駆使して、スピードと攻撃力で4位につけたガスペリーニ監督率いるアタランタ、好成績を挙げて周囲を驚かせたインザーギ監督のラツィオも、今季はどこまで力を伸ばせるか楽しみだ。(波平千種通信員)