今季でアトレチコ・マドリードを退団するFWフェルナンドトレス(34)が今季最終戦で2得点を挙げ、チームとサポーターに別れを告げた。

 Aマドリード下部組織で育ったトレスは2部時代も含めて7シーズンを過ごし、リバプールとチェルシー、ACミランでプレーした後、14-15年シーズン途中から復帰した。スタジアムには「少年から伝説へ」という横断幕が掲げられ、背番号「9」へのチャントが響いた。

 0-1の前半41分。カウンターからコレアのラストパスをフリーで受けたトレスは右足で無人のゴールにシュートをたたき込んだ。さらに後半15分には途中出場のディエゴコスタのパスを受け、DF2人の間を強引に抜け出し、飛び出したエイバルGKドミトロビッチが触る前にループシュートで勝ち越しゴールを決めた。2-2とされて迎えた同35分にはこの日3度目となるネットを揺らしたが、判定はオフサイド。そのまま試合を終えた。

 退団セレモニーは感動的だった。トレスはシメオネをはじめチームメート、スタッフが作る花道を進んだ。大型ビジョンにはAマドリードでの若かりし頃からの映像が映し出された。センターサークルで感情を押し殺しながら、ガビにメンバー全員のサイン入りユニホームを受け取り、記念撮影を行った。Aマドリードで最初の監督だったマヌエル・ランヘル氏らから惜別メッセージをもらった。

 「またすぐに、フェルナンド」と書かれたバルーンに吊るされた9番のユニホームがスタンドを舞う中、トレスはスピーチで感謝の思いを告げ、バルセロナに勝ち点14差をつけられ、2位に終わったクラブへ「このグループはチームに相応しい以下のものしか手にしていないし、今度はそれを獲得する時だ」とメッセージも残した。最後には「本当にこのユニホームを着れたことは誇りだったし、名誉だった。試合に全てを出すこの素晴らしい選手たちと戦えたこと。心からサポーターは自分を世界一幸せな人物だと思わせてくれた」と締めくくった。

 その後の記者会見では来季について「明日からオファーを検討する。まだ何も決めていない。どこに行きたいとかもない。今はこの瞬間を楽しみたい」とコメントした。

 なおエイバルの日本代表MF乾貴士(29)は右太もも、大腿(だいたい)四頭筋の痛みを訴えて欠場し、19日に帰国している。