ビッグクラブ入りを目指す日本代表のエースMF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が、イタリア・セリエAの名門ACミランが移籍先の候補であることを初めて認めた。5日、国内で自主トレ中の本田を日刊スポーツが独占取材。CSKA側との契約が満了となり、フリーになる来年1月の移籍期間ではなく、あくまでも移籍金が発生する今夏の移籍に向けて代理人が動いていることを明かした。

 渦中の本田が、初めて胸の内を明かした。この日は国内で自主トレを行った。グラウンドを貸し切り、関係者以外は一切近づけないように、敷地内や駐車場にも南京錠で施錠をする徹底ぶりだった。実戦形式のメニューを2時間以上、みっちりこなした。そこには、全速力でボールを追う本田の姿があった。練習後は窓を真っ黒なスモークで覆った移動用の車の後部座席に乗り込み、言葉を発することなく練習場を去った。

 それから数時間後-。その車中にドッシリと腰を下ろし、注目される移籍先について、本紙の取材に応じた。セリエAでリーグ制覇18度、欧州チャンピオンズリーグ制覇7度。世界的な名門クラブであるACミランについて、しっかりとした口調で言った。

 「(移籍先の)候補であるのは確かやね。(代理人に)動いてもらっている」

 そして、本田はかけていたサングラスを外した。その表情は真剣だった。日本のエースの移籍先候補が、ACミランであることが、初めて本田の口から明らかになった。

 所属するCSKAモスクワとの契約は、今冬まで残っている。目標にするビッグクラブへ、この夏に移るには、当然のごとく移籍金が発生する。一方で、契約満了となる冬まで待てば、来年1月の市場で移籍金なしで自由に動くこともできる。果たして移籍はこの夏なのか、それとも冬なのか-。その問いに関しても、自分の思いを、きっぱりと口にした。

 「俺は夏の移籍の方を考えている」

 現在、CSKA側は中国遠征中のため、ACミラン側とのクラブ間交渉はこれから始まるものとみられる。ただし、契約期間が残りわずかになった本田の移籍金は、比較的割安になる可能性もあり、今後もプレミアリーグや、スペインなどのビッグクラブからオファーを受けることもあり得る。現地イタリアでは先行報道が続くが、正式決定までには、まだ時間を要する見通しだ。

 勝負をかけて挑んだ6月のコンフェデ杯は3戦全敗に終わった。公言する「W杯優勝」へ、自身の無力さをさらけ出す結末にもなった。W杯本番まで残り1年。本田は、現時点で先の見えない世界の頂点までの距離を、真剣に考えたことだろう。そして、自らの急激な進化のために、世界の超一流クラブへの移籍を急がなければいけないという結論を導き出したに違いない。

 夢にまで見たビッグクラブ移籍へ。新たな扉を開く日は、目の前に迫っている。【取材=八反誠、益子浩一】