日本陸連は17日、都内で理事会を開き、リオデジャネイロ五輪の男女マラソン代表6人を決定した。大阪国際で優勝した福士加代子(33=ワコール)らが順当に選ばれた。尾県(おがた)貢専務理事(56)は、今回の福士に絡む代表選考問題を受けて、20年東京五輪で選考方式の変更を示唆。五輪前年に早期内定を出す「世界選手権枠」をなくす可能性を示した。

 日本陸連がマラソン代表選考問題の改革に乗り出す構えを見せた。この日の理事会で男女計6人の代表が満場一致で決定。一方で福士の「名古屋強行エントリー」が物議を醸した。20年東京五輪へ「(今回の福士のような好結果を出せば、即座に)内定を出せるような選考要項を出してもいいんじゃないか」という意見があったという。それを受けて、尾県専務理事が口を開いた。

 「今後は設定タイムをクリアしての優勝なら(内定を)考えてもいいんじゃないか」

 この発言には大きな意味がある。今回の代表選考問題は、世界選手権北京大会を含めた4つの選考会から3人の代表を選ぶことが最大のネックだった。1レースで1人ずつ内定者が出れば、最後に選考レースが余る。その可能性を問われて、尾県専務理事はさらに踏み込んで発言した。

 「(東京五輪前年の)19年世界選手権(ドーハ)はおそらく9~10月に開催されるでしょう。酷暑のレースで、どれだけの選手が出るか。失敗した際に(体のダメージも含めて)その後にある国内選考会に間に合うのか。リオと東京でパス(通り道)が異なる可能性はある」

 マラソン代表は00年シドニー五輪から、前年開催の「世界選手権枠」が設定されていた。それを白紙撤回する可能性に触れた。

 尾県専務理事は、選考レースごとに違うペースメーカー設定についても「公平性の担保という部分から考えていきたい」とした。福士側はペースメーカー設定を確認し、名古屋出場を回避した経緯もある。会見の最後には「本当に皆様にはご迷惑をおかけしました」。20年東京五輪で混乱を招かないために、よりよい選考方式を模索する。【益田一弘】

 ◆リオ五輪選考要項 男女とも最大3人。昨夏の世界選手権入賞者(伊藤舞)が内定。残る2枠をさいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズから選ぶ。各レース日本人上位3位以内が対象。日本陸連の五輪派遣設定記録2時間22分30秒を満たした1人を優先に、五輪で活躍できる選手を選ぶ。複数の選手が設定記録を突破した場合、優劣をつける規定はなし。そのために1月の大阪で優勝した福士(2時間22分17秒)が、3月の名古屋の結果次第でわずかに落選の可能性があっために名古屋強行出場を目指し、騒動に発展した。